女子みたいな体の、ちっちゃな恋のあやめっち

ヤッキムン

中学

松山城のすぐ近くの中学に入学した。

ふもとから、緑あふれる木々の道を登って行くと、やがて中学に到着する。

自分で言うのもなんだけど、めっちゃ良き場所にある中学だ。だって、なんてったって、松山城のある山の、途中にあるのだから。

通学路は、松山城へと登っていく山道なんだから、すごいでしょ!めっちゃ良いでしょ!

全国でも、いや全世界的にみても、めっちゃ良き場所にある中学だと思う。

だから、中学生になって、毎日通学している時も、ちょっとしたハイキング気分にもなれるから、それだけで、けっこう好き。


松山の街そのものも、可愛い雰囲気を持ってて好きだ。

街にはオレンジ色の可愛い市電も走っている。

街の中心を路面電車の走っている松山をボクはめっちゃ好きだ。


たまたまテレビを見ていたら、夏目漱石の番組をやっていた。

女性アナウンサーはナレーションで

「漱石は生涯、松山の街を愛し続けました」

って言ってた。

ボクは、それを見て、その女性アナウンサーに

「漱石じゃないのに、なんでわかるの?」

って思わず、つっこんでしまったけど、きっと何かに書き残していたのかもしれない。

松山を愛していることを...

漱石は正岡子規を慕ってもいるし。


小4の時に松山に引っ越してきた。

小学生の時の友達の多くも、同じ中学に通っている。

中には私立の中高一貫校に進学した友達もいるけれど。


そもそも松山で住んでる家自体、松山城のよく見える場所にある。城下町の雰囲気のある、めっちゃ良き街。

ミカンも美味しい。


ボクは小学生の時も、女の子みたいだった。

でもクラスのみんなも、そういう女の子みたいなボクのことを好きになってくれてた。


松山は小説坊っちゃんの舞台となってる街だから、小4で松山に転校してきた時も、まわりのみんな、めっちゃ優しかった。

気候と同じく、めっちゃあたたかな街だ。


女の子みたいなボクだから、小学校でも、だいたいいつも女の子の友達といっしょにいた。女の子の友達と行動していた。

女の子みたいだから女の子の友達といると、めっちゃ落ち着く。

教室でも、いつも女の子の友達とくっついていた。


5年生の時は、6年生の女子に学校でいつも追いかけまわされていた。

ボクのことを見つけると、ワーッと走ってきて

「きゃあああ、あやめっち~」

って言いながら抱きついてくる。


校庭とかで、遠くのほうから走ってくると、ボクも気づいて逃げれるけど、廊下で不意に見つかると、逃げる間もなく、抱きつかれてしまう。


女の子みたいで可愛いからか、どっちかと言うと、上級生の女子から人気あった。


1回抱きつくと、それで満足なのか

「バイバ~イ」

って言って走りさる。


でも5年生の時は、いつ6年生の女子に抱きつかれるか、わからないから、学校にいても、いつもドキドキしていた。


自分も6年生になったら、上級生の女子たちは、みんな中学生になっちゃったので、小学校で抱きつかれたりもなくなったから、ぶっちゃけ、ちょっとさびしかったりもした。


2つ年下の妹の友達は、ボクのことを本当に女の子だと思ってるみたいだ。

だから、妹はボクのことを友達には

「お姉ちゃんのあやめっち」

って言って紹介しているみたい。

最初の頃は、小学校で、ばったり、妹と妹の友達に会ったりすると、友達はみんなボクをお姉ちゃんだと思ってるから、妹もちょっと不思議そうにしてるんだけど、そのうち開き直ったのか、お姉ちゃんでいいっていうふうに思うようになったみたいなのだ。

家に遊びに来た妹の友達も、みんなボクのことをお姉ちゃんだと思っているみたいだ。

妹の名前は空里だけど、妹の友達も帰る時には

「空里ちゃんのお姉ちゃん、さようならーっ」

って言って帰ってる。


ボクは4年生の時に松山市の少年少女合唱団に入って歌を歌っていた。

空里も入りたがってたけど、小2ではまだ入れなかった。

夏休みの合唱団の合宿にも、空里はボクといっしょに行きたがってた。

集合場所にまで空里はボクに着いて行こうとしていたから、そんな空里をママは水泳教室に連れて行ってた。

空里は、ボクの夏合宿に行ってる間、梅津寺での水泳教室に通ってて、めっちゃ泳げるようになっていた。

水泳教室では、梅津寺の海の、空里の背の届かないところまで、コーチといっしょにボートに乗って行って、そこでボートから海に飛び込んで、毎日、コーチに泳ぎを教わっているみたいだった。

その後、空里といっしょに泳ぎに行くと

「あやめっちは、こんなにうまく泳げないでしょ~」

っていうようなドヤ顔をボクに見せながら、めっちゃきれいに飛び込んで、めっちゃきれいに泳いでいる。どんな泳ぎでもスイスイ泳げるようになっていた。

もう合唱団のことは忘れたかのように水泳に打ち込んでいる。

ボクも、そんな空里のことを見てたら、水泳もいいなあ~って思うようになってきた。

特に、梅津寺のきれいな海で泳げて、空里いいなあ~って思ってしまった。


中学生になると、また、小学生の時の上級生の女子たちに再会して

「きゃあああ、あやめっち~!また会えた~」

って言って、相変わらず中学でも抱きつかれている。


学校を歩いていても、いきなり後ろから、ガバッと、抱きつかれたり、体を触られたりする。

でも、ボクも

「抱きついたり、触ったりしたいんだったら、好きにやってくれて良いよーだ」

って思うようになった。

だからか、みんな、ボクを見ると、なおのこと一層、抱きついてきたり、体を触って、モミモミしてきたりしている。


「あやめっち可愛い~」

って言って、追いかけまわしてくる。

でも中学生になったら、ボクも上級生の女子のこと大好きになって、だから、追いかけられて、抱きつかれたりすると、めっちゃ嬉しい。

抱きつかれた瞬間、中学生の先輩女子だと、体も柔らかくて、ちょっとポヨヨ~ンってなって気持ち良い。


ボクは中学で美術部に入った。


2年生の奏ちゃんに

「あやめっちのこと好き」

って言われて、つきあいはじめた。

夏休みには梅津寺のきれいな海に行って、いっしょに泳いだ。

ボクも女子の水着を着てるから、まわりからは女子の友達2人で泳いでるふうに見えてるはず。


奏ちゃんをモデルにして絵を描きはじめた。

松山城と松山の街の風景をバックにして、可愛い奏ちゃんの芝生に座ってるところを絵に描いた。

そしたら、その絵で、中学生絵画コンクール金賞に選ばれた!

奏ちゃんも銀賞に選ばれていた。


美術部のみんなも、美術の先生も、うちの中学から金賞・銀賞と2つも受賞して、めっちゃ喜んでいる。

奏ちゃんは金賞をとりたかったのか、銀賞だったから、ちょっと悔しがってるみたいだ。


ボクは奏ちゃんに

「ボクの絵の金賞なのは、絵の中に奏ちゃんを描いていたからだよ~」

って言っておいた。


「まあ、それだけ、あやめっちの絵も美しかったってことか~」

って奏ちゃんも言ってる。


中学生になった時に、テニス部かバスケ部か陸上部か吹奏楽部にも入りたかったけど、けっきょく美術部にしたから、ボクは美術部でしっかり絵を描くことに専念している。

画材も好きだ。

色えんぴつもマーカーも水彩絵の具も、どれもみんな大好き。

いろんなのを使い分けて描いている。

筆も好きだから、いろんな種類の筆を集めている。

筆の種類によって大胆に描けたり繊細に描けたりするから。

紙の質にも、こだわっている。

同じ白でも、微妙に光沢もあったり、ちょっと淡い黄色に感じられたり。

紙の表面も、すべすべの手触りだったり、ちょっとつるつるしていたり、ざらざらと立体感を感じたり。

紙の厚さもいろいろあるし。

そういうのを使い分けて、いろんなタッチの絵を描くの、めっちゃ好きなのだ。



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