SNSで炎上して国会議員にさせられた私はもうだめかもしれない。

青井健三郎

第1話

ワンルームのアパート、窓から朝日が差し込む

会社に行かなければならないのに、ひどく頭が痛い。


「あの、どちら様ですか?」


酔いつぶれていたのか、昨日の記憶が全くない、

目の前には紺色のスーツ姿の女性、かなり美人だ。


「今日からあなたの秘書を務めさせていただきますので、よろしくお願いします。」


頭がガンガンする。この女性が何を言っているのか分からない。

そんなことより、会社に行かなくては。もう、遅刻だろうか。。


「あの、すみません。会社に行くので、そこをどいていただけますか?」


「会社に行く必要はありません」


記憶にないが、怒らせるようなことでもしたのだろうか、かなり強い言い方をされた。

これが朝チュンというやつだろうか、何も覚えていないことに怒りを覚える。


「失礼なことをしたのなら謝ります、でも何も覚えていないんですなんというか、

やわらかそうで、いいにおいで、うらやまけしからん。

そんなあなたと、一夜を共にした私は、きっと特別な存在なんだろうと・・・ぐはぁ」


秘書の右アッパーが私の顎を捉える、ライフポイントは半分以上削れ、体は一瞬宙に浮いたが、宙に浮いていた意識が戻ってきた。


「あなたは国会議員になりました。これから国会に向かいます。」


何と言っているのか分かったが、今度は何を言っているのかわからなかった。

要するに言葉の意味を捉えることができたが、要領を得なかったということである。


「それって、どういう?」

「あなたは昨晩、友人複数人と酒を飲み、酔いつぶれて路上で寝ていました。

そして、その様子を友人たちに写真でとられ、SNSに投稿されてしまいました。

その写真の背後に愛人とホテルに入る国会議員が移っていたため、拡散され、

『この国会議員の代わりに手前で酔いつぶれているこいつを国会議員にしよう』

という運動がおこりました」


女性はそういいながらタブレット端末を操作して、その投稿内容を見せてくれた。

顔にボカシも入っておらず、間違いなく私のようだ。

すさまじい数の『いいね』がついている。ちっともよくない。


「ご存じかわかりませんが、この国では選挙の投票先をいつでも切り替えられる

リアルタイム投票システムが施行されており、この議員に投票していた人がこぞって

あなたに投票先を切り替えたのです。そして、今朝の5時頃、国会議員になるために必要な票数に達したため、

あなたをこれから国会に連れていきます。あなたが働いていた会社は自動的に解雇扱いとなりました。」


とにかく唐突すぎて、わかったような、わからないような状態である。

もうろうとしていることもあるが、それ以上にこの女性が持つ

吸引力の変わらぬただ2つの胸のふくらみが私の両手を吸い込んでいく。


その瞬間女性の左フックが私の顔面を捉え、ライフポイントが0となり、目の前が真っ暗に。。


「すみません詳しい説明は国会でしますので、そのまま眠っていてください。」


私は誘拐されるように国会に向かうのであった。

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