第7話 最後の六繋天 Part3

暗眩統率者ドッペル・コンダクター】が金貨に移動する。


「くそっ…

こうなりゃ、力ずくで…」


男は金貨に襲い掛かろうとする。

しかし、ヘリの中から数人が現れ、拘束されてしまった。


「往生際が悪い奴ってのはみっともねぇな。

連れて行け」


ヘリはそのまま上空へ飛び立つと小さくなっていった。


「鞍端風増。

【ケルベクロスブリード】のカードは…」


「ああ。この建物の中に」


「そうか」


「どうかしたのか?」


「俺も行く。

俺になら、六繋天の黒幕を消滅することができるかもしれないからな」


「黒幕?」


「ああ。

俺は【ケルベクロスブリード】のカードを手にしていた時、ある意識と交流していた。

そいつは自身を瞳彩アイリスと名乗っていた」


瞳彩アイリス?」


「そいつがいわば、諸悪の根源…」


「六繋天は瞳彩そいつの力が6つに分かれた状態。

奴は全てのカードを揃えて、散り散りになった本来の力を取り戻そうとしている。

カードをここに封印するのはいいが、それはその場しのぎにすぎない。

長い時が経てば、奴は何らかの手段で再び動き始めるかもしれない。

そうさせないためにも、今打つべき手は瞳彩アイリスの意識を完全に消滅させることなんだ!」


「それは分かったけど、それとお前がどう関わってくるんだ?」


「俺は元々【ケルベクロスブリード】の中にいた瞳彩アイリスの意識に選ばれた人間。

奴は俺の持つ悪意が、最も自身の力を引き出しやすいから、俺を選んだと言っていた。

取り憑く人間の悪意が強ければ、その分六繋天を探す力も強くなるからな。

だが、それこそが奴の最大の弱みでもある」


「弱み?」


瞳彩アイリスは悪意を持つ人間を好む。

裏を返せば、悪意の無い人間の中では、奴は生きられない。

中途半端な人間に憑けば、奴には致命傷になるんだよ」


「まさか、お前…」


「ああ。今の俺にもう悪意はない。

【ケルベクロスブリード】の封印を解けば、奴はもう一度、俺に取り憑こうとするだろう。

だがその瞬間、奴は自滅の道を辿る!」


「!?」


「でも、もし失敗すれば…」


「その時はお前達が、瞳彩アイリスごと俺を葬ってくれ」


「そんな危険すぎるよ!」


「いいんだよ。

これがせめてもの罪滅ぼしなんだ」


「金貨、お前そこまで…」


「俺が一番驚いてるけどな。

お前らにボロ負けするまで、俺自身、こんな風になるなんて思いもしなかった」


金貨の決意の固さに、三人は言葉が出ない。


「さぁ、長話はこれで終わりだ。

行こう」


4人は瞳彩アイリスの眠る保管庫に入っていく。


続く…


**********


「意外だったよ。金貨があそこまで改心してたなんて」


瞳彩アイリスか…。

そいつを消せるかどうかが勝負だな」


次回 瞳彩アイリス

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