第5話 自殺できないバツ
自分に銃を突きつけて死ぬ前の3秒間で考えたい。
どうしたらバツが消えるかって。
だけど実際には銃は存在しない。
死ぬことも消えることもできるのは、全部私が私を自滅させるのみ。
見えないバツを見えるバツにしたのは、自傷行為だった。
それが、思いっきりバツをでっかく表せた。
ただ私には勇気がなかった。
私は擦り傷程度にしか傷跡をつけることが出来なかった。
本当はもっともっとつけたいのに。
つけられないもどかしさに苦しくて泣いた。
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