美少女の裸を見てしまい「責任取って」と言われたので男見せることにしました!

かえるの歌🐸

第1話 俺と彼女のパラダイスな出会い


 夏の暑さをジリジリと肌で感じながら、俺は目の前の状況をただただ見つめていた。


 ……目の前には、艶のある肌と美しいくびれ、そして2つのでっけ〜お山。いつもは“服”という名の装備に邪魔され、眺める事すらままならないパーフェクトなボディ。異性、そして思春期真っ盛りの人間としては決して見せたくないレッドーゾーン。それを俺は“偶然”という形で拝めていた。



「あっ……あぁ…………!?」


 数秒の間の後、突然生まれる圧倒的羞恥。彼女は必死に両手を使ってブツを隠そうとするが、たっぷり栄養を得て実った2つの果実はそう簡単に隠せるものでは無い。


「ほう……」


 それを俺は覚悟の上でゆっくり、そしてじっくり観察…いや、記憶の全てにアップロード&バックアップしていた。


「っ……」


 この場には顔を真っ赤に染めた半泣き全裸JKとそれをまじまじと目に焼きつける本能型変態男子高校生の俺のカオスな状況であった。



 そして、等々彼女は我慢の限界を迎えたのか……


「きゃゃーッ!いつまで見てんのよ、この変態ッ!!!」


 ──ボガッッッ


「うぐげっ!?」


 そこから先の記憶は俺には無い。ただ、必死に誤解を解こうとしたのだけれど、圧倒的な本能には逆らえず彼女の全力のドロップキックをモロに食らってしまった……という所までは何とか覚えている。



 っ、──でも、あれ?

 どうして俺はあんな場所へ行かなきゃならなかったんだっけ?

 どうしてこんなにも“パラダイス”な放課後を送っているんだっけ?


 顔面にドロップキックを食らい、鼻血を出してぶっ倒れる最中。…………宙に舞う、手に持っていた無数の参考書たち。そんな薄れ行く記憶の中、俺は虚ろになりながらも少し前のことを思い出すのであった……


 ☆☆☆


 俺の名前は御手洗みたらい げん。高校二年生になったばかりの普通の男子高校生だ。普通と言っても、そこにでもいる一般ピーポーには当てはまりたくないという謎の意志と信念を持った少々変わった人間でもある。


 そんな俺だが、今日はなんだか不運なことが連続して続いているような気がする。





「──あ、やべ!」


 初めは今日の体育の授業で得意なサッカーをやっていたんだけど、偶然蹴ったボールがクラスの女子に当たってしまったという不運から始まった。勿論誠心誠意すごく謝ったけど、なんだか女子からの視線は寒く険しく鋭く……気まずくなった。




「オイ!御手洗ッ!

 お前教科書忘れたのに断り入れなかったのか!?」

「──あ、バレた!?」


 続いては、教科書を忘れてしれっと授業に参加していたのが担任からバレて説教(キツめ)を食らった。完全に俺の失敗だが、周り忘れてるやつがチラホラといるのにも関わらず俺だけがバレた。




「ぜぇ、ぜぇ、ギリキリ間に合ったか……

 定食のおばちゃん。C定食お願いします!」

「あらあら残念。一足遅かったわね、さっきの子でC定食は売り切れちゃったのよ」

「えーぇっ、楽しみにしてたのに……ちぇ」


 説教が想像以上に長引いたせいで、学食で俺が一番好きなC定食が売り切れだったり。



 友達からは「ドンマイ」やら「厄日だな」と煽られるぐらい今日の俺は不運だった。



 そんなダルい一日の最後までも俺の不運は続いた。それは今日の俺が日直だということだ。

 別に忘れて仕事をサボっていた訳では無い。むしろ無難にこなしていたという自信もある。ただ今日の教科書の忘れの件という罰(雑用)を担任から押し付けられたのだ。









「……はぁー、全く。誰だよ、参考書を返さなかったヤツは」


 ジリジリと照らす夏の熱い日差しで汗をかき、シャツが濡れて張り付く不快な感覚。更に今日の自分の不甲斐なさに多少のイラつきを抱きつつ、どうしようも無い虚空の怒りを俺は延々に抱いていた。


 今は教科係の仕事忘れで、ある参考書(クラス全員分)を旧校舎の資料室に戻しに行っている最中だ。

 ただただ旧校舎に行くってだけでも案外しんどいのに、流石にこの量の参考書を1人で持つには辛いだろ!?


 スーパーの手持ちカゴにパンパンに隙間無く敷き詰められた無数の参考書たち。それはとにかく重く、いつもより歩くのが数段階も遅くなってしまう。





「まぁ、さっさと終わらせて帰ろう。流石に今日の不運はリセットしたい所だしな」


 今日は幸いにも部活も休み。こんな雑用なんてぱぱっと適当に終わらせてさっさとこれからの放課後を堪能したいのだ。


「あともう少し……」


 そう自分を鼓舞しながらゆっくりと歩を進めるのであった。





 ──数分後。



「よぉーし、とーちゃくぅ~」


 額に大粒の汗を作りながらも、俺はようやく旧校舎2階の人気の無い資料室に到着した。


 そうして、なんの迷いも無く扉をすっと開けると──────うん。今の大変ご満悦なパラダイスな状況まで戻ることになる。






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