第2話 再会

 資料等に埋もれかけた中パソコンと向き合い法案作成を始めて三分くらいたった頃恵理の携帯が鳴りだした。相手は流美だった。

 「もしもし流美?久しぶり元気」

 「元気だよ。ねぇ明日会える?」

 声に勢いがある恵理とは対照的に流美のほうはなんとなく声に張りが感じられなかった。明日からのことについての迷い悩みに支配されている故であろうか?

 「明日か・・・いいわよ。ただ夕方6時から3時間くらいならだけどいい?」

 「いいよ。そのくらい時間とれるなら結構色々話せるかな。じゃあ道玄坂のもんたで飲みながら話そう」

 このもんたという店は流美、恵理に祐梨の3人のアイドル活動中にライブや本家の道玄坂30のステージの打上げによく使っていた店である。まぁ芸能人御用達の店だからといってさほど変わったつくりでもなくむしろ普通の居酒屋なのだがちょっと奥まったとこに隠し部屋みたいなのがあってライチ班として活動してた時代はよくその隠し部屋に通されていたものだった。そこだけ卓袱台の下1.5メートル四方くりぬいてあって足をおろせるようになっていたが、今日流美と恵理がとおされた席はライチ班時代のとこと違って昔からあった普通の座敷といったところだった。


 「へぇこんな店だったんだ。さあ飲むぞて気になるわ」

 「そうねえあたし達と祐梨でよく言ってた頃は何かVIPルームか隠し部屋みたいなとことおされていつも本家(道玄坂30(サーティー))の子達と一緒の席になっても初めに乾杯して5分くらいで隠し部屋にひっこまなきゃいけなかったわね」

 「そうそういつもあたし達がいくとそのたんびに店長さん出てきていちいち騒ぎになると困るからこちらへどうぞて何回も聞かされたもんね」

 「ランチ班ももう世間から忘れ去られたんだろうなぁ」

 恵理が肘をついて顔を支えながらため息交じりに言うと

 「ランチ班?」

 そう言って流美がちょっと目を丸くした。

 「祐梨あの子ランチパック好きだったの覚えてる?」

 「あぁ覚えてるよ。あたし達も時々もらっていたしよく夏休みの時期で連日の劇場ライブになるときなんかよく本家の研究生達にあの子差し入れてたわ」

 「そうよ。でもそれが原因でファンや新しい研究生の子達ライチとランチ混同してたわね」

 「ハハハハァ、何かうけるわぁ」

 流美は恵理の混同という言葉を聞いて時折ややオーバーアクションで手を叩いて大笑いしてしまっていた。

 

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