第3話 6歳
6歳になりました。
内政チートはやる前から諦めました。
異世界転生はまるで一等賞のようなもので、欲しい人は山ほどいると思う。
しかし、可能であれば、私は帰って残業でもしたいと思います。
「ハーランド・ホフマン」、ホフマン男爵の四男。
出身は高貴とは言えませんが、前世で一生懸命働いても手に入れられなかったもの。今のスタートラインは、ほとんどの人のゴールより遥かに遠い。
しかし、なぜこの出身でも、内政チート計画頓挫していますのか?
それは、この世界がまともではないからです。
政治構造は中世のヨーロッパに似ていますが、それは表面上のことに過ぎません。
騎士、魔法使い、牧師、ネクロマンサー⋯⋯
エルフ、ドワーフ、獣人、ホビット族、海族、アンデッド⋯⋯
ゲームや小説など、フィクションの世界にしか存在しない職業や種族が現実と交差すると、この世界は不穏なものになる。現代生活の平和に慣れてしまった人たちが、弱肉強食の世界に来ると、誰もが違和感を覚える。
内政チートをした矢先に、自殺する羽目になる。
それも背中を八回切られるやつの。
何故なら経済力や生産性が上がれば、同じ条件かでもより富を蓄えられる。時間が経ってば周辺の領主や税務官などに気づかれ、その技術を狙われる。誰も自分の隣に眠った獅子の目覚めを待たないであろう。
例え有力な大貴族や王室に技術やアイデアを献上しても、独占的な利益と寡占的な利益を比較すれば、どのような答えに辿り着くのか。貴族達のモラルの底辺を試す趣味は毛頭ない。
まあ、今の目標は、生き残ることかな。
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