ブラコンらしい孤高な美少女クラスメイトを惚れさせたい

闇野ゆかい

第1話もちかけられた相談

はぁー、と嘆かわしそうなため息が聞こえ、扉の方に視線を向ける俺。

「お疲れ様です、松原先輩。いつにもまして、お疲れみたいですね……」

「まあな……ってか、先輩はやめろって。いつも言ってんだろ。はぁー……」

バックヤードの更衣室に入ってくるなり、ため息を吐いて置かれたパイプ椅子を引き寄せ、どかっと腰を下ろし脱力した松原数樹。

「御両親と揉めていたり、するんですか?」

「いや、親とはそこそこってとこだ。親ってぇよりぃー妹との関係性つぅのか……」

「えっ!?妹さんがいらっしゃるんですか、松原さんにっ?」

「あれっ言わなかったけ?言った気になってた。居るんだよ、それがさぁ。それに妹が通ってんの、浩介と同高おなこうだぞ。学年も同じだぞ、つけ加えっとくとな」

「えっ……?というと、遥那さん……だったりします?松原、遥那……さん?」

「あぁ、遥那だ。妹は遥那ってんだ。あいつ、高校だとどうしてる?イジメられてたり、してんのか……?俺が高校のこと、聞いた途端に口を閉ざしちまうんだよ。そうでなくっても口数が減ったり、あからさまにはぐらかそうとすんだよ。知ってることがあるんなら話してくんね、浩介」

「えっと、イジメられてるってことはない……ですよ。ただ、一人にさせといてくれって……雰囲気を纏ってて、遥那さんは」

「そう、か……ひとまず、イジメられてないなら一安心ってとこだな。ところで、悪いんだが……俺の頼みを、きいてくんねぇか浩介。この通りだッ」

顔の前で両手の掌を合わせ、頼み込む松原の姿に断ることが出来ずに頷くしかなかった俺だった。

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