3話 ようこそ!!モッフモフの神獣達!!

え、え、えええええ!!!

 今私の目の前に立っているのは、犬耳のあるイケメンと、猫耳のある美少女。

 「ソフィ、すごいよ!すごいよ!!神獣が、人間に忠誠を誓うなんて、聞いたことないよ!!」

 「さすがソフィア様です」

 ちょっとちょっと!!私今、どうしようか考えているのに、スイとミアが横から口を挟むから、も〜う、意味わかんくなっちゃったじゃん!?

 

 ではここで、妖精と精霊、そして神獣について一旦整理をしよう。

 えー、『妖精』はミニサイズの人間の姿をしたもので、10cm〜15cmくらい。妖精はあまり人前に姿を現さず、気に入った人間の前だけに姿を現す。

 『精霊』は、動物の形をした妖精、みたいな。魔法学校とかで、全員『使い魔』契約をするらしい。最上位が竜で、他にも色々いるらしい。妖精も精霊も、全員『精霊女王』が主だが、契約を結ぶと、その人間が主となる。しかし、その人間が死亡した場合、主は精霊女王へと戻る。

 『神獣』は、妖精や精霊とは違ったもので、神聖な動物。地球でいうイエス様の動物バージョン、みたいな?そして、滅多に姿を現さない。100年間も姿を現さない神獣もいるらしい。1つの国に1体いればいいくらいで、守護獣もいるらしい。


 なんて考えを巡らせていると、

 「あ、もしかして、私達はお邪魔でしょうか・・・・・・」

 「はあ、そうなれば、帰るところもない私たちは、路地で餓死するのを待つ運命ですね」

 「そうですね、誰かが私たちを養ってくれたら、そんなことにはならないんですけど・・・・・・」

 そろそろ不安になってきたようだ。

 でもね、うん、かわいい子犬と子猫の姿に戻って、圧かけないでくれないかな?でも、餓死するなんて言われちゃったら、動物好きの私のプライドが許さないし・・・・・・


 「はあ。分かった。いいよ。ここにいても」

 そう言った瞬間、すぐに彼らは人間姿に戻る。

 「「本当ですか!!」」

 「うん。その代わり、動物の姿でいてくれる?私が癒されるし。でも、人間になったり、動物になったりしてたら、流石に変でしょう?」

 「そうですね」

 「わかりました!!」

 「よかった。あ、そういえば、名前を教えてくれる?」

 「「名前・・・・・・?」」

 「え、もしかして、ないの?ねえ、スイ、神獣って、名前ないの?」

 「えーっとね、神獣は簡単には生まれないから、めちゃくちゃ長生きしていて、大体名前はあるはずなんだけど」

 「あ、もしかして、名前あるけど、つけてほしい、とか?」

 図星だったらしい。急に顔を真っ赤にしてモジモジしている。でもそこも、かわいいと思ってしまう!!

 「わかった。ねえ、属性は何?」

 「私が雷です」

 「私は風です」

 えーっと、イケメンくんが雷で、かわい子ちゃんが風。

 「う〜ん、じゃあ、あなたがライで、あなたがリーゼね」

 「ライ・・・・・・」

 「リーゼ・・・・・・」

 あ、いまいちだったかな?私、ネーミングセンスないから、ライは、雷そのまんまだし、リーゼは、突風という意味。スイの時もそうだったけど、全く思い浮かばないんだもん!!


 「「素晴らしい名前をありがとうございます!!」」

 「あ、そう?気に入ってくれた?ならよかった」

 気に入ってくれたらしい。よかった、本当に。

 「じゃあ、ライ、リーゼ、スイが先輩なんだから、敬ってよね!!スイ様って言ってもよろしいですわよ!!」

 「「わかりました!!スイ様!!」」

 あらあら、すいが先輩面してる。ていうか、小さなスイに、大きなライとリーぜが首(こうべ)を垂れているのが面白い。

 

 スイが、ここでの生活の心構えをライ達に説いていると

 「ソフィア様、そろそろご夕食の時間でございます」

 ミアが来て、そう伝える。

 「分かった。すぐ行く」

 

 ここでは、夕食は、|家族⦅あの人たち⦆と一緒に食べる。私は「え?私がいない方がいいんじゃないの?」と思ったのだが、別にいいそうだ。朝食と夕食のみで、昼食は違うが。

 ただ、私はこの時間が大っ嫌い。会話は私抜きで行うし、私に話を振ってきたと思ったら、馬鹿にするようなことしか言わないし。別にいいんだけど、ミアの悪口や、母の悪口を言われるのは、嫌だ。でも、逆らったら、家を追い出されちゃうから、適当にいうこと聞いてるだけだし。

 私は早く家出したいけど、まだこの世界のことを何も知らないし、知識や、ルール、マナー、何も知らない。もし家出した時のために、知っていることはたくさんある方がいい。だから、私は知りたいことだけ知って、後は、もう知らない。向こうにとっては、大人しくて扱いやすいな、とでも思っているだろうけど(知らんけど)都合よくて悪かったですね、って感じ。


 「申し訳ございません。お義母さま、お父様」

 「あら、私にはないのですか?それにしても遅かったですわね。お姉様。もうお先にいただいてしまいましたよ」

 すいませんね!!なぜかこの部屋は私の部屋からめちゃくちゃ遠いんですよ!!

 私が来てすぐに文句を言ってきたのは、2つ下の義妹アイティラ。カミラと同じ金色の髪に、父と同じ青色の目。それに加えて愛らしい容姿をしている。8歳のくせして、こんな悪口が言えるのは、絶対にカミラの教育ね。すごいよ、カミラ。私尊敬する。

 まあ、そんなことはどうでもいいや。ご飯をいただこう。めっちゃ美味しそうだもん!!

 「いただきます」

 この世界で「いただきます」はないから、聞こえない程度の小さな声で言う。

 あー、それにしてもめっちゃ美味しい。

 今日の献立は、なんか高級そうなパン、なんかよくわからないスープ、ローストビーフ、サラダ、その他色々、でございます、と。


 「それにしても、あなた、部屋に汚い動物を持ち込んだみたいですね」

 「まあ、そうなのですか、お母様」

 「ええ、アイティラはそんなことをしないのに。もしもアイティラが病気になってしまったらどうするのですか!!」

 「え?何か言いましたか?」

 

 私、食べるのに夢中すぎて、何にも聞いていませんでした。

 「・・・・・・っ。そうですか、聞こえませんでしたか。私は、汚い動物を拾ってきたあなたが、優しいですね、思っただけですよ。やはり、同じような境遇のものを、放っては置けない、とでも思ったのでしょう?」

 そして、カミラが半ギレ状態になる。

 「ええ、そうですよ。私の部屋で飼うことを、許してくださいますよね?」

 「ええ、いいですよ?ただ、絶対にあなたの部屋から外へ出さないでくださいね?あの動物達が持っている菌で、病気になったら嫌ですから」

 おおおおお。聞いた?神獣様に向かって、菌があるとか、汚いとか、ひどくない?

 「では、そろそろ失礼致します」

 食べ終わったら、私、すぐ退室します。

 「ああ、そうだった、ソフィア」

 大体ここで、今まで口を開かなかった父がしゃべる

 「明日、ラファエル様がいらっしゃるから、準備をしておきなさい」

 「ラファエル様が!?」

 「かしこまりました」

 どちらかというと、喜んでいるのはアイティラの方ですよ?

 ていうか、婚約決まって1週間でしょう?王太子って、暇なの?


 「あ〜疲れた〜」

 「ワンワン!!」

 「ニャンニャン!!」

 うっわ〜

 「かわいい!!」

 明日ラファエルが訪ねてくるという話を聞いて、考えを巡らせて、ショート寸前だった私を出迎えてくれたのは、ライとリーゼ。しかも、子犬と子猫姿の!!

 「でしょでしょ?スイが指導したんだよ?スイを褒めて褒めて!!」

 「うわ〜可愛い〜」

 私、スイの言葉を無視して、ライとリーゼを抱っこする。さすがにまだ10歳だから、ふらついちゃったけど。

 「ねえ、ミア。今日から、ライとリーゼと一緒に寝てもいい?」

 「ええ、いいですよ?もうお休みになられますか?」

 「うん!!」

 

 ライとリーゼと一緒に、布団の中に潜り込む。

 それにしても、超モッフモフで、めちゃくちゃ癒される。

 「これからよろしくね、ライ、リーゼ」

 二人?をぎゅっと抱きしめたまま、すぐに眠りについた私。

 ライとリーゼが圧死しそうになっていることも知らずに・・・・・・。

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