人魔獣物語

第1話 プロローグ

　かつてこの世は魔獣王バルバトスが野に放った魔獣によって混沌に満ちていた。

　魔獣王の作り出した苛烈な弱肉強食社会のなかで、次第に人間たちは生活の場を奪われていった。

　もはや人間が生活できる場は王都しか残っておらず、ひとたび外に足を踏み出せばたちまち魔獣たちの生餌となってしまう。

　この世がそんな地獄と化したころ――――。　

　後に人間の歴史で四大守護獣と語り継がれることになる獣たちが反旗を翻し、王に牙を向いた。

　その戦いは七日七晩続き、ついに守護獣によって魔王は封印され、人間と魔獣が互いに手を取り合う長い長い平和の時代が訪れたのであった――――。