神の慈悲なくばⅣ ~UNLEASHED~

吉村杏

Prologue

1-1

 今や真夜中がこっそりと忍び寄り、

 重い眠りが人の目を閉ざす時。

 安らぎを与える星の光もなく、

 聞こえるのは死を予兆するふくろうと狼の叫びのみ、

 今や邪悪な狼が無力な仔羊を襲う好機。

 汚れなき思いは死んだように眠り、

 情欲と殺意とが、汚し、殺そうと目覚めるのだ。


   シェイクスピア『ルークリース凌辱』

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