契約神書
竜胆モミジ
1ページ目 始まり
今回は自分の基準的には読み切り小説です。
よろしくお願い申し上げます。
————————
ある谷のある田舎の家で一人のお婆さんと少女が居た。お婆さんは、少女に絵本を読み聞かせている。すると、少女がお婆さんに質問していた。
「ねぇねぇ、かみさまって本当にいるの?」
その質問にお婆さんは「いるよ」と、答える。
少女は続けて質問をする。
「あったことある?」
お婆さんは少し考えて答える。
「うん、あるよ。昔ね、熊に襲われそうになった時に助けてくれたの」
「そうなの!わたしもあってみたい!!」
少女の無邪気な反応にお婆さんは微笑んだ。
「いい子にしていたらいつかきっと会えるよ」
少女はそう言われて嬉しそうにしていた。
●●●
「おーい!」
誰だろう。誰かが私を呼んでいる?あれ?てか、私何してたっけ。
そして突如と体を揺さぶられびっくりして起き上がった。
「起きて。掃除するよ」
「………え?」
掃除?そんな事してたっけ?あれ?頭が回らない。
「え?」
私の反応をみて私を起こしてくれた友達の紅葉(くれは)も戸惑っている。
どうやら、私は寝落ちしていたらしい。
少し沈黙が続いた後、私は完全に目が覚め勢いよく立ち上がり何をしたら良いのかを聞いた。友達から指示を聞いた私はすぐに取り組んだ。
掃除をある程度終わらせ、私と友達はコンビニ行って食べ物を買いに行こうと歩いている。
「相変わらず、変だね」
それは褒め言葉ですか?
ぜひぜひ理由を聞きたいね。なぜ私が変なのかを。
「なんで?」
「だってさ、自分の部屋を掃除するのに何処を掃除しなければならないか私に聞く?掃除途中で寝落ちするし……」
何処を掃除して良いのか分からないから呼んだでしょうが。掃除途中で寝落ちするのは仕方がない!疲れたから。
「ま、面白いから良いけどね」
は?
「いや、良いの?私このままで良いの!?」
「個性豊かで良いじゃん」
あらー。褒められている気がするけど、なんかイヤだな。
そんなことを思いながら歩いていると、コンビニの前に着いた。すると、友達がいきなり鞄の中を慌てて何かを探し始めた。
「あ、財布忘れた」
友達はそう言いながら、上目遣いで私を見ていた。
奢って欲しいのかな?良いよ…あれ?ここに財布が。あ、忘れちゃった☆
「ごめん!私も忘れた……」
「えーー!」
私が取りに帰ろうとしたら、引き留められた。友達曰く、私は体力が無いから自分で取りに行くから待ってね、と言われた。
勿論私は、お言葉に甘えて鍵を渡して取りに行かせた。
あー、優雅優雅。
私はボーとしていた。友達が財布を取りに帰ってくれるまでボーとしようとしたけど、突如と掃除の途中で寝落ちした時に見た夢がフラッシュバックして来た。
私なんであんな夢見たんだろう。幼い頃の記憶で懐かしさもあるけど、あの時に戻りたいな。しかし今考えると、お婆ちゃんが神にあったことあるなんて嘘に決まってるし。あれは子供にいい子にさせてあげる為に言ったに違いない。私だってそうするから。だって本物の神が本当にいたらこの世界はこんなに悍ましく無いよ。
夢のことを考えていたら、財布を取りに行っていた友達が帰ってきた。やっぱり運動神経良い人は羨ましい。
「はぁー!疲れた…」
大きく呼吸をしながらよく喋れるね。私なら言葉を出す余力すらない。
私と友達はコンビニの中に入り、買い物をしているとある新聞が目に入った。その新聞には《超常対策庁の半神人が新たな脅威を排除》という内容だった。
すると、友達が私を見て「興味あるの?」と聞いてきた。
「興味なんかないよ。あんな自分達は神という虚言をほざいている組織を載せている馬鹿げた新聞を哀れに思っただけだよ」
それを聞いた友達が少し戸惑っていた。
「でも、本物かもしれないじゃん?」
「それはないね」
友達の意見に私は即座に否定した。
あんな人達が神だとは思わない。何が半神人だよ。嫌気がする。
「そ…そうなんだ」
友達の顔を見ると何か悪いことをしたような表情をしていた。
私は近くにある窓を見て反射した自分の表情をみた。少し怒っている表情だった。
私はすぐに友達に怒っていないから別に大丈夫だと言い、笑顔で友達を宥めた。
他の人でも、あの事を話題にすると私はいつも表情が硬くなる。生理的な反応なのかもしれない。やっぱり私はまだ恨んでるかもしれないね。
コンビニから出ると日が沈もうとしていた。
もう夕方。時間って早いね。家に帰ってもう少し掃除して今日はもう閉店だね。
「あと、今日は私家に泊まって良い?」
突然友達が聞いてきた。
「え?私の?」
「うん。このあと色々やったら夜遅くになるからさ、お願い!」
仕方がないやつだな。でも掃除手伝ってくれたし、色々と助かるから良かろう!
「良いよ——」
私がその言葉を言い終わる前に突如として轟音が鳴り響き、前方に広がる道に隣接する建物が一軒の家もしくはそれ以上の家から煙が上がり倒壊していた。
私と友達がその風景を見てすぐさま逆の方向に逃げる。
逃げている人は私だけではなく他の人々も大勢逃げていた。でも、何か素早い物か人なのかは分からないけど、私と友達を遥かに凌ぐ早さで通り越して地面に倒れている。
よく見ると人だった。でも、彼は身体に青白い稲妻を纏っていた。
彼をよそに私と友達は逃げていたが、すぐそばの建物が半壊して私と友達はそのまま何もできずに埋もれてしまうと思った。でも、友達が私を突き放したのだ。私は擦り傷で済んだ。だが、友達は下半身が大きな瓦礫に埋もれて身動きが取れない状態にあった。私は頭がクラクラして意識が朧げながらも友達の所に駆け寄り、どうにかして体を引っ張り出そうとしても動かなかった。友達は気絶しているし、周りの人々は逃げ惑い私と友達の事を見て見ぬふりをしていた。
私はその光景を見て、ただでさえ友達が自分を構ってくれたせいで瓦礫に埋もれていることに対して泣きそうなのに、誰も助けてくれない現状に絶望して、私はついに涙が溢れてしまい一人で静かに泣いた。
●●●
平穏な街が突如として何者かによって壊され、人々が逃げ惑っている。何かしらの超常現象が発生したのだろう。その現場に駆けつけた一人の男が周りを見渡していた。彼は建物の下敷きになった人や逃げ遅れた人たちの助けをしていた。
そして、半壊して道路に崩れている建物を見つけ駆けつけると、下半身が瓦礫に埋もれている少女とその子の側にいて目に涙を浮かべている少女を発見した。
彼はすぐに埋もれている少女の脈を確認して、泣いている少女に話しかけた。
「何処か怪我はあるか?」
すると、少女は少し掠れた声で
「擦り傷ほどなので大丈夫…」
と答えた。
男は続けて少女に話しかける。
「いまから、瓦礫を持ち上げるからその子を引っ張り出してくれ」
男の話を聞いて少女は頷いた。
男はもう一人の少女の身体の上に覆いかぶさっている瓦礫を観察して、なるべく少女の身体に傷つかないようにゆっくりと丁寧に瓦礫を少し持ち上げた。
その隙に泣いていた少女が埋もれていた少女を引っ張り出したのだ。
瓦礫を下ろした男は少女に質問する。
「名前は?」
「朔空(さく)。天真朔空(てんしんさく)」
「良し、サク。この子を連れて此処から駅まで避難して欲しい」
彼はそう言い駅までの道のりを教えた。
「ででも、私に友達を担ぐ力は残ってないです。ですから…………手伝って欲しいです」
少女のお願いに男は頷いた。
「勿論補助はするさ。でも、直接助ける事は出来ない。まだやるべき事があるからな」
男はそう言って気絶している少女に手掌を向けた。彼は少女に何かを施して、少女の体が浮遊していた。
「これで少しは楽になっだろう」
彼はそう言うと少女は少し頷いた。
少女は自身の友達を横抱きして、その場を足速に去った。
少女を見送った男は突如と何かに気が付き振り返ると、一人の男がそこにいた。
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