第130話 たまには気軽にファーストフード店でだべるのも悪くないな

 さて、剛力君と一緒にやった広瀬君への誕生日プレゼント選びは、そこそこ時間はかかったもののつつがなく終わった。


 どうも俺は高校一年生としては金銭感覚がだいぶ壊れてるらしいし、高校生の男友達にプレゼントを贈るようなことをした記憶もないので、剛力君が一緒に買い物をしてくれたのはすごく助かったな。


 そして意外とプレゼント選びに時間がかかっていたのか、スマホで時間を確認すると、もう13時を過ぎてるしだいぶ腹が減ったな。


 剛力君へのお礼もかねて一緒に何か食べていくか。


「剛力君。

 お昼も過ぎていてだいぶ腹も減ったし、マッグで軽くなんか食べてかないかい?

 買い物に付き合ってくれたお礼におごるよ」


 俺がそう聞くと剛力君は笑顔でうなずいてくれた。


「うん、いいよ。

 僕もちょっとおなかが減ってたしね。

 え?

 僕のほうも助かってるし、おごりだなんて気を使わなくても大丈夫だよ」


 ふむ、そんなもんか。


「じゃあ、さっそく行こうか」


 と言って俺たち二人が西部デパート別館のロストを出ようとしたとき、俺に向かって後ろから声がかけられた。


「おやおやぁ?

 秦ぴっぴは今日も女の子とデートかなぁ?」


 声をかけられたほうに振り返ってみたら、そこにはニヤニヤしている東雲しののめさんとちょっと不満げな西梅枝さいかちさんが居た。


 西梅枝さいかちさんの手にはラッピングされた箱があるので、ここにいる理由はおそらく俺たちと同じだろう。


 俺は苦笑しつつ東雲しののめさんに向かって言う。


「おーい、今日は剛力君と買い物をしてただけだぞ」


 俺がそういうと東雲しののめさんはにひひと笑って言った。


「そんなのわかってるって。

 ちょっとからかっただけだよん」


 そのあと西梅枝さいかちさんが俺に聞いてきた。


「なんで私たちも誘ってくれなかったんですか?」


 それに対しては俺はアハハと苦笑しつつ答えた。


「毎回毎回つき合わせたりするのも迷惑かなって言うのと、男友達へ男が贈るものに対してのアドバイスが欲しかったからだったんだけど、誘うだけ誘った方がよかったかな?」


 西梅枝さいかちさんは小さくため息をつきつつ言った。


「別に迷惑なんかじゃないですよ。

 でも男友達へ男性が贈るものに対してのアドバイスが欲しかったというなら仕方ないですね」


 そして東雲しののめさんが言う。


「これからマッグにいくんしょ?

 あたしたちにもおごってよ」


 さらっと言ってるがおごり前提というのが東雲しののめさんらしいな。


 俺は苦笑しつつ言う。


「おごりなの?

 まあ、別にいいけどな。

 じゃあ行こうぜ」


 というわけで俺たちは4人でマッグに向かうことにした。


 ロストを出てからてこてこ歩いて京成船橋駅の南にあるマッグに向かう途中で念のため俺はみんなに聞く。


「この近くに絶品堂っていう、すげーうまいハンバーグが食える店があるけどそっちにするかい?」


 俺がそう言うと東雲しののめさんは肩をすくめてから言った。


「そうやって秦ぴっぴはいいかっこしぃするぅ。

 秦ぴっぴがすげーうまいって言うことは値段も結構するんでしょ?

 んでランチだと安いセットとかあんの?」


 東雲しののめさんの言葉に俺はぐうの音も出ない。


「あー、確かにちょっと高めで、お徳なランチセットとかもなかったかな」


 俺がそう答えると東雲しののめさんは言う。


「んじゃあ、最初の予定通りマッグでいいんじゃん。

 今はまだがっつりハンバーグって気分でもないさ」


「まあ、確かに今の時間帯でがっつりハンバーグって気分でもないか」


 言い方はちょっとあれだけど実際は東雲しののめさんなりの気の使い方なんだろうけどな。


 まあ、そんなやり取りの後で俺たちはマッグに到着した。


 お昼時を少し過ぎてるのもあって、そこまで混雑はしていないようだ。


「いらっしゃいませ。

 店内でお召し上がりですか?」


「あ、はい。

 店内で食べていきます」


「注文は何になさいますか?」


「えーと、ビッグマッグのセットと単品でてりやきバーガーを。

 セットの飲み物はコーラで」


「かしこまりました。

 では、こちらの番号でおよびしますのでお待ちください」


 俺は番号の書かれた紙を受けとって、列から外れてしばらく待つ。


 ほかの三人も注文を得て、しばらく待つと番号が掲示板に表示されるのでカウンターで番号を見せて受け取り2階へ上がる。


 テーブル席に座って食べ始めようとしたら東雲しののめさんが俺に聞いてきた。


「秦ぴっぴさ。

 ビッグマッグのセットと単品でてりやきバーガーって多すぎくない?」


 西梅枝さいかちさんと剛力君も同じように考えてるような気はするな。


「確かにちょっと多いかもな。

 まあ、夕方を軽めの物にすれば大丈夫だと思うし、ビッグマッグ単品だと食べづらいから俺はこうしてるんだよ」


 俺がそう答えると東雲しののめさんが首をかしげていった。


「ビッグマッグ単品だと食べづらい?」


 俺はうなづいて言葉を続ける


「うん、ビッグマッグってパティ3枚のバンズの間にパティと刻みレタスとかが入ってるから、下手な食べ方するとバンズがずれ落ちたり、レタスやセサミバンズのごまがポロポロと落ちたり、うしろのほうからソースがたれていくんだよね」


 東雲さんは何となく察したのかコクコクうなずいて言った。


「まあ、そうみたいだよね」


「なんで、てりやきバーガーを先に食べて空いた包んでる袋にビッグマッグを入れて食べれば、そういう問題は全部解決ってわけ」


 俺の言うことを聞いた東雲しののめさんはしたり顔でうなずいて言う


「なるほどねぇ。

 たしかにそれなら色々落ちたりしないで食べやすそうだねね。

 そういえば注文するときに”バーガーラップに包んでください”とか”紙で包んでください”などと言えば包んでくれるらしいよ」


 俺はその言葉にちょっと驚いた。


「え?

 そうなんだ。

 知ってればそうした時もあったのにな」


 俺がそう言うと東雲しののめさんはけらけら笑う。


「なんだ。

 結局食い意地が張ってるだけじゃんw」


 まあ結局はそうかもしれないな。


「まあ、そうかもな。

 そういえば俺、炭酸飲料は普段のまないんだけどハンバーガーのときだけは大抵炭酸飲料なんだよな。

 ウーロン茶とかよりコーラとかジンジャーエールとか」


俺がそう言うと西梅枝さいかちさんは苦笑しながらうなずいた。


「確かにこういうところっではなぜか炭酸飲料を頼んでしまいますよね。

 ちょっと不思議です」


「まあ、こういう店でアンケートを取ると追加してほしいメニューにはヘルシーなメニューって回答が多いけど、実際に導入してんの全然売れないらしいしね。

 そういえばそっちは何を買ったんだい?」


 俺がそう聞くと西梅枝さいかちさんはにこやかに答えてくれた。


「はい、シンプルなハンカチです。

 広瀬さんには一番最初の行事の郊外オリエンテーションからいろいろよくしてもらってますし無難なものを選びました」


「なるほど、ハンカチなら何枚あっても困るものでも邪魔になるものでもないし、そもそももらって困るようなものでもないからいい選択だね」


「秦君たちは何を買ったのですか?」


「俺達は縦置きもできるペンケースにシャーペンと二色ボールペンンのマルチボールペンと消せるボールペンのフリクションペンだね」

「なるほど、どちらかといえば実用性重視だと思いますけどいい選択だと思います」


「ん、そう言ってもらえて何よりだよ」


 こんな感じでたまは気軽にマッグで他愛もないおしゃべりをしながらだべるのも悪くないな。


 やっぱデートとかだと相手がちゃんと楽しんでるかとかで気を使うし。

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