第89話 中垣内のおかげでとりあえずちゃんとバレーボールをできるようにはなれたかな
「パスとサーブ、レシーブはできるようになったと思うけど、スパイクなんかはやっぱバレーコートでネットをはってやらないと練習は難しいかな?」
俺は
「ちゃんと練習しようとするなら確かにそうだけど、基礎的なことをやるならコートやネットはなくても大丈夫よ?」
「お、そうなのか?
じゃあ、どうすればいいんだろう?」
「そうね、最初はボールを使わないで、スパイクの助走とジャンプだけを繰り返し行って、フォームを固めるところから始めましょう」
「なるほど、確かにいきなりボールを使ってやるよりそのほうがいいのかもな」
俺がそういうと
「それなら、今からでもできそうですね」
「じゃあ、スパイクのうちかただけど右利きの場合、右足、左足、右足、左足の順に足を出すのだけど、1歩目の右足は小さく、2歩目は少し大きめに足を踏み出し、2歩目と3歩目の間で、両手を後ろに大きく振り上げ力を溜めて、3歩目は大きく踏み込みながら、後ろに軽く体重をのこしつつ、右足をメインにして左足は少し遅れるように、少し内側に向けつつ踏み込むの。
とりあえず一回やって見せるわね」
「ああ、口で言われるだけだと、全くわからないから実際にやって見せてくれると助かるよ」
「お願いします」
「それじゃあ、やるわよ」
「なるほど、ちょっとやってみるか」
俺は
「ちっがーう。
最後は両足で同時に踏み切らないの!
メインは右足で左足はフォローするだけ」
「お、おう。
すまん」
何度かやっているうちにようやく形ができたと思う。
「そうそう、そんな感じよ」
俺と
「き、厳しいですね、アハハハ……」
「はい、じゃあ次はあなたよ」
「は、はい、頑張ります」
「じゃあ、次はジャンプしたときに、手をバックスイングさせずに、手を伸ばして飛んできたボールに高い位置で触る練習をしましょう」
「なるほど、パスの時に手でキャッチして投げ返したり、ヘディングで入る位置を覚えたりするのと同じようなもんか」
「そうそう。
上がったボールに対して助走やジャンプのタイミングを覚えながら、腕を仕上げるスパイクのタイミングも覚えられるはずよ。
私がボールを上げるからやってみて」
「了解」
「わかりました」
「だめだめ、タイミングが合ってない。
ボールは可能な限り高い位置で触る。
あと、ボールの真下に入るんじゃなくて、ボールは体の少し前で触るようにしないとちゃんと相手コートに入らないし、スパイクの威力も出ないわよ」
「おう、わかったぜ」
ジャンプして体の前のほうでボールに触るタイミングがあってきたら、ボールを持ったら、投げる方の肩を後ろに引いて、腰を回転させるようにして前に持って行き、左手を体にひきつけ、お腹に力を入れてボールを投げる練習。
さらにはジャンプをせずにボールを打つ練習とすすみ、最後にはトスからのオープンスパイクの練習まで何とかこぎつけた。
「とりえず付け焼刃ではあるが何とか形にはなってきたかな?」
俺がそういうと
「まあ、だいぶましにはなったんじゃない?
実際のところはネットを張って、試合形式でやってみないと何ともわからないけど」
「本当にありがとうございました。
これで全然ボールが入らなくて、会場がしらけてしまうということはなくなりそうです」
俺も
「本当にありがとうな」
「べ、別にあなたたちのためにやってるわけじゃないし。
そんなに頭を下げられるようなことじゃないわよ」
そしてボッチで誰とも会話もできないような状況ではなく、クラスメイトと球技大会に向けて楽しく練習をできるのはすごく楽しく幸せなことだとも思うよ。
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