第85話 中垣内のコーチは結構スパルタだ
というわけで放課後、
「それじゃ、地道にパスの練習をまたやったほうがいいかな?」
俺がそういうと
「また?
あなたたちもう二人っきりで練習していたりしたの?」
「あ、ああ、昼休みにちょっとだけな」
俺がそう答えると
「ふーん、そうなんだ……じゃあどれくらいうまくできるようになったか、二人でパス練習して見せてくれない?」
「お、おう、じゃあ
「あ、はい、わかりました」
俺たちは、昼休みにやったようにボールをオーバーパスの状態でキャッチしあう。
まあ、昨日よりはだいぶましになってるとは思うし、しあさっての方向へボールは飛んでいったりはしないし、そこそこのスピードでパスはできてると思う。
それを見て
「ふーん、まあ、多少はましになってるみたいね。
でも、あんまり実践的じゃないし、ちょっとやり方を変えてみない?」
俺と
「やり方を変えるってどういう風に?」
「わたしがあなたたちにパスを出すから、サッカーのヘディングでボールを私に返してみて」
「え、ヘディングですか?」
「ええ、ちなみにバレーボールは頭や足をつかってボールを返しても反則にはならない競技なの。
といっても実際の球技大会でもそうしなさいっていうわけじゃないわよ?
手を使わずヘディングをして、相手へ返すことができるようになれば、ボールへの恐怖心が薄れるうえ、真正面に入る感覚を磨けるからそうしてみたらってこと」
「なるほど、そういうことか。
確かにヘディングで返そうとすればボールの真正面にちゃんと入る必要があるもんな」
「そういうこと。
それじゃあ、私が二人の少し横なんかに向けてボールを投げるから、二人はヘディングで私のほうへ帰すようにしてね」
「ああ、わかった。
頼むな」
俺がそういうと
「わかりました。
よろしくお願いします」
俺たちはそれぞれ
「んじゃ、行くわよー!
まずは秦君!」
「おう!」
よし……ボールの真正面に入って……
「あだっ」
ヘディングで返そうとしたが顔面にぶち当たってしまった。
「へたっぴ。
なにやってんの?!」
「あーすまん。
膝を落としてヘディングしないと駄目なコースだったか」
「バレーボールのパスは肘と膝が大事だからね。
特にアンダーパスでボールをコントロールするには膝の屈伸でやらないといけないから」
「それはオーバーパスでもかわらないってことか」
「そういうことよ」
そして
「そっちもいくわよー」
「は、はい!」
そしてひゅっとボールをほおった。
「え、えい!」
「ん、その感じでいいんじゃない」
「ありがとうございます」
そしてボールの正面に入ることと、膝を使ってボールをコントロールするということをうまく教えてくれたことにはすごく感謝だ。
まあ、やり方は結構スパルタだけどなぁ。
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