第79話 東雲さんとのデートは最終的にかなり気を使われちまったな
さて、土曜日の
とはいえ高校生である俺たちが、あんまり家に帰る時間が遅くなるのも問題なので、21時には庭園散策は切り上げて、今は電車の中だ。
「今日のデートさ、中垣内的にはどうだった?」
「うん、プラネタリウムは速攻寝落ちしてごめんね。
で、夜の山茶花荘の庭園の、水辺を舞う蛍たちの光がすっごく幻想的ですごかった」
「ああ、なんかあそこのプラネタリウムのカップルシートは寝てもいいよう設計してるらしいよ。
星空をちゃんと見たい人には不評みたいだけどな。
ホタルの光は予想以上に綺麗だったな」
「うん、本当にありがとうね」
「ま、
そんなことを言いながら船橋で俺たちは分かれた。
「じゃあまた月曜日にな」
「うん、またね」
俺は自宅へ帰り、明日の予定を見直す。
「
俺は
『明日のスカイタワーだけど、朝早い方が空気がきれいで景色も楽しめるらしいから7時半に京成船橋駅集合でどう?』
『あたしはそれでいーよ』
『んじゃ、明日の7時半に京成船橋の改札で待ち合わせで』
『りょーかい』
という訳で翌朝。
今日は格式高いホテルでのディナービュッフェとかはないので、ふみちゃんがコーディネートしてくれた古着スタイルで自宅をでる。
東武線の船橋駅を降りて、てくてくあるいて京成線の京成船橋駅まで移動。
約束の7時半の10分前には到着したが
まあ、別に約束の時間より早く来ないといけないわけじゃないんだけどな。
そして8分ほどたち東雲さんがやってきた。
「おはよー、もしかして大分待った?」
「ん、おはよう、
いや俺も10分前とかだからそんなに待ってないよ」
「ん、みんな15分とか10分前とかに待ち合わせ場所に来るとか真面目だよねぇ」
「まあ、何かあって待ち合わせに遅れたら失礼だしな」
「今はアプリで電車の遅延とか到着時刻とかも調べられるからそうそう遅れたりしないんだけどね」
「といいつつ、前遊んだとき遅れそうになってなかった?」
「あはは、そうだっけ?」
そういって笑ってごまかす
「じゃ、電車で移動しようか」
「おっけー」
俺たちは京成線の京成船橋駅から押上駅へ移動し電車を降りる。
「今日は天気もいいし、B3出口から地上に出てみよう」
「ん、それでいいけど押上駅から東京スカイタワータウン地下3階へ直結してるスカイタワータウン入口から向かった方が早くない?」
「まあせっかくだし、ソラミ坂を上って4階のスカイアリーナにいってみようぜ」
「まあ、秦ぴっぴがそうしたいならあたしもいいよ」
という訳でB3出口を出ると左側にはイーストタワーと東京ソラマチ入口があり、そしてスカイタワーがそびえたっているのも見える。
「うひゃー、スカイタワーを外から見上げてみるとけっこうたかいんだね」
「だな」
そしてソラミ坂を登っていき、登りきるとスカイタワーのほぼ真下へ到着。
スカイアリーナには写真を撮る人や観光客がけっこういて正面エントランスからスカイタワーへはいる。
まずはエレベーターで天望デッキフロア350に上る。
地上350mの高さに位置するここからは東京を一望でき、遠くには富士山や東京湾の向こうに房総半島なども見れる。
「
厚さ12mmの強化ガラスを重ねたガラス床から真下に広がる眺望を指し示すとそれをのぞき込む
「うわ、これじゃちょっと怖いかも」
「たしかにちょっとこわいよなぁ。
万が一でも落ちるようなことはないんだろうけど」
そして天望デッキフロア350から、シースルーの天望シャトルで天望回廊フロア445へいどう。
ここは地上445mから450mまで約110m続くスロープ状の回廊。
「ひょえー、めっちゃたかいね」
「まあ、世界最高の電波塔らしいからなここは」
スロープ状の天望回廊を空中散歩の気分を味わいながら二人で上に進んでいき、最高到達点「ソラカラポイント」のあるフロア450へ到着。
ここ天望回廊では、様々な限定イベントが行われており、今日は映画の真ゴッジーラとのコラボらしい。
パノラマスクリーンで真ゴッジーラの映像が流されていたり、グッズが売っていたりする。
そんなことをしていたら11時になったのでスカイタワーから降りて、イーストヤード31Fにあるソラマチダイニングスカイタワービューにあるスカイレストランムサシでランチだ。
「予約している秦ですが」
「はい、お待ちしていました」
「これまた高そうなレストランを選んだね」
「まあランチならそこまで高くないけどな。
ランチはサラダにパンと肉料理か魚料理を選べるけどどうする?」
「んじゃ、あたしはお肉にしてみるね」
「じゃあ、俺は魚を試してみるか」
ランチと一緒にアミューズ・タワーというデザート8品盛合せも注文する。
「うわ、何これすごい」
「スカイタワーっぽい外見の皿に見栄えのいいデザート8品盛合せが乗ってるとかしゃれてるよな」
「ん、それにすっごくおいしい」
家族の誕生日や記念日のお祝いに利用するお客さんも多いらしいけど、カップルの利用率も高いらしいが、まあなかなかいいムードにはなれそうな気がすると思う。
のんびりとランチを堪能したらここを出て墨田水族館へ。
「ここの人気アトラクションは国内最大級と言われる屋内開放のプール型水槽にいるペンギンたちみたいだよ」
「ペンギンかぁ」
入ってすぐにはまず熱帯魚の展示スペースがある。
「この水槽、すっごく綺麗だね」
「確かに。
この水族館は新しいこともあるんだろうけど、アロマの香りを焚いたりしてるし、照明の使い方が上手なんだと思う」
江戸をテーマにした日本最大級の金魚展示ゾーンや、全長50mのスロープを万華鏡に見立てたクラゲ万華鏡トンネルなど、従来ではあまりない斬新な展示方法もポイント高い。
そしてゆったりと泳いでいるペンギンから、ぼーっとしているペンギンまで個性あふれるペンギンの姿もかわいい。
そして俺たちは水族館を出た。
北十間川沿いの遊歩道をぶらぶら散歩しながら俺たちは隅田公園へ向かう
「いやー思ってた以上に良かったよ。
秦ぴっぴってば、ほんとたらしなんだから」
いーい笑顔でそういう
「おいおい」
ここはひと気がありつつも、二人だけで会話をするにはちょうどいい場所らしい。
「あ、ちょっとベンチに座ろうよ」
「ん、そうだな」
俺たちはベンチに座る。
そして東雲さんが言った。
「はたぴっぴはさ、最近結構無理してない?」
「あ、うーん、まあ多少はな。
でも、高校や大学の時のどれだけ努力するかで将来は決まると思うから、努力はするべきだと思うんだよな」
「そっか、そうやって頑張る秦ぴっぴはすごいと思うよ。
でも、たまにはさ、他人のためじゃなく自分のために楽しいことをしたらどうかな?」
「ん?」
「秦ぴっぴはあたしたちに気を使いすぎだよ。
実際ちょっと辛いんでしょ?」
「ああ、そうだけどな」
「じゃあ、今は少し休んじゃいないよ。
あたしが膝をかしてあげるからさ」
そういって
「どう?」
「ん、やわらかくてなんだかよく眠れそうな気がするよ」
「ふふふ、じゃあ少しだけ眠っておくといいよ」
緊張の糸が切れたのか俺はうつらうつらとした後、眠りに落ちていった。
そしてふと目が覚める。
俺の寝顔を眺めていたらしい
「にししし、秦ぴっぴおっはよー。
眠ってすっきりしたかい?」
俺はゆっくりと体を起こした。
「ん、ああ、だいぶ頭がすっきりしたよ。
ごめんな
「なんで謝ってるの?」
「いやなんか気を使わせちまったし」
「いーんじゃない?
秦ぴっぴも随分気合入れてデートプラン考えてくれたわけだし、これくらいならお安い御用だよ。
あとさ……」
「ん?」
「ほかの女の子には言えないとかかもしれないけど、つらいとか大変とか、そういう時はあたしに言いなよ」
「え?」
「ま、いつもわがまま言ってるのはこっちの方だし?
だから秦ぴっぴのも多少のわがままは聞くべきだなーっておもうっしょ」
「ははは、そっか。
それは確かにな」
「んじゃ今日は帰ろ。
言っとくけど私の膝枕は安くないからね!」
「ん、そうだな
本当にありがとな」
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