第24話 高校デビューのアドバイス動画の撮影と投稿も順調だ
さて、家庭科部の部活動は無事終了。
「オムレツはそこそこのものを作るのに、そこまで難しくないから初心者にはいいですよね」
俺がそういうとまず
「私は初めてだったので、ちょっと焦がしてしまいましたけど、確かに意外と簡単にできましたね」
そして
「そうですね。
ただプロレベルとなると話はまた別ですけども。
卵は熱にとても敏感で、火をうまく調節して、加熱しすぎないようにすることは、とても高度な技術を必要とするからですが」
俺はその言葉にうなずく。
「プロのフレンチオムレツの食感に比べられてもね。
俺達にできるのはやっぱり家庭のオムレツでしょうね」
俺がそういうと
「まあ、家庭科部の部活動なのだから家庭のオムレツができれば十分じゃない?」
「確かにそうですね。
お客さんにだしてお金をもらうレベルを目指すわけでもないなら、気楽に作ればいいわけですし」
まあそんな感じで和気藹々とした雰囲気で、無事部活動は終わった。
そして翌日の火曜日は
『明日の放課後また撮影するけどそっちは大丈夫?』
メッセージを入れるとレスが即帰ってきた。
『大丈夫だよー』
「先週にこちらの部屋をお借りしたように、火曜日と木曜日に使わせてもらえると助かるのですが」
「ん、私はいいけど?
何のために」
「女の子と一緒に、ユアチューブへ投稿するための動画撮影に使いたくて」
「まあ、いいけど、いかがわしいことはしないようにね」
「まあ、善処しますよ」
というわけで翌日の朝。
俺は
「みてみて、私たちの動画、再生数が2万回を超えてるんだよ!」
「ああ、初投稿にしては上出来だろうな。
まあ、
「え、へへ、そうかなそうかな?」
「まあ、俺のトークによる補助もあることは理解してほしいけど」
「わかってるって。
で、今日の放課後、また家庭科実習室で撮影するの?」
「ああ、金に余裕ができたらレンタルスペースを借りてもいいが、今はそこまで余裕もないしな」
「うん、じゃあ放課後ね」
というわけで放課後。
「さて、じゃあまあ今日も俺とお前でグダグダしゃべりながら、高校デビューに関しての話を中心にして撮影していくぞ」
「うん、こっちはいつでもオッケーだよ」
「よし、じゃあ始めるか。
さてさて、童貞のケンジと」
「処女のオトメのコンビで送る」
「グダグダ高校デビューチャンネルー。
さて、今日は本格的にグダグダ高校デビューについての、アドバイスなどをしていこうと思う」
「アドバイスって、実際どんなことをすればいいのかな?」
「まず男についていえば、身だしなみを整えて、はっきりゆっくりしゃべって、近くの人間に話しかけろ、以上!」
「以上って、アドバイスになってなくない?」
「具体的なことを言うなら、俺は夕方に風呂に入ってちゃんと垢を落としつつ、朝は別に寝汗を洗い流すためにちゃんとシャワーを浴びてる。
こうすれば肩にフケが乗ってるなんてこともないし、襟や袖も垢で汚れたりしにくくなる。
あと、爪はこまめに切って爪の間に黒い垢などがたまらないようにしてる。
こういったことに気を遣えば相手に不快感を与えないで済むはずだ。
あとは初対面の時点で、「なんかいい人そうだな」「なんか気持ち悪い奴だな」と思われるのは、声のトーンや話し方により判断されている部分が非常に大きい。
だからはっきりゆっくりしゃべってみろっていうことだ。
ちなみに高い声で速く話すと元気で明るい印象に。
高い声でゆっくり話すと 優しく大らかな印象に。
低い声で速く話すと勉強や仕事ができる印象に。
低い声でゆっくり話すと落ち着いた印象になりやすいらしい」
「ふうん、話し方でも印象はだいぶ変わるんだ」
「逆に聞くが、女の子の場合はそういった身だしなみは当然するだろうから、あとはどうすればいいと思う?」
「やっぱり外見を少しでも良く見せるのは大事だよね。
髪型、眉、まつげ、肌なんかが少しでもきれいに見えるようにしてるよ」
「女の子はそういうの本当大変だよな」
「目が悪くて眼鏡をかけてるなら思い切ってコンタクトにした方がいいと思うな」
「眼鏡をかけてると頭がよさそうに見えるけどな」
「でも、可愛くはあんまり見えないよ」
「それは確かに否定はできないけど」
「まあ後は当然だけど、体型は大事だよね」
「俺は少しぽっちゃりしてるくらいが好きだけど?」
「え、ケンジはデブ専?」
「いやいや、日本の女の子の場合ちょっと痩せすぎな体型が理想みたいに思われてるだけだよ。
細すぎて脂肪なんて少しも付いていないウエストやら太ももやらは、むしろ鶏がらって思われるんだけど、そこまでする女の子も多いだろ?」
「確かにそうかも?」
「胸にあばらが見えるくらい痩せてると、むしろ何かの病気じゃないかって心配になるし、抱いたり触ったりしても、柔らかさがなくて、むしろ痛そうじゃん」
「だだだ、抱くって……」
「いや、実際には女の子を抱いたことなんてないけどな。
でもまあ、足が朝と夕方じゃ別人のように太さが違ったりするのは困るだろうな」
「うん、結構足ってむくむからね」
「そういったむくみを解消、予防するには、まずむくみ体質の改善からだな」
「どうすればいいの?」
「まず、塩分や糖分の入ってないミネラルウォーターや緑茶ウーロン茶などを1.5~2リットルくらい飲むことを習慣づける。
塩分や糖分はむくみのもとだからな。
あとは適度な時間お散歩とストレッチをすることだ。
体に老廃物を溜めないようにすればむくみが解消される。
まあそれだけだと足りないならリンパマッサージという手もある」
「リンパマッサージ?」
「ああ、体の中にたまっている老廃物を指なんかで押し流すことで、ふくらはぎなんかが細く見えるってやつだ」
「それ! 私にやってみて!」
「あ、ああ、それはいいが結構痛いぞ」
「あ、うん、たぶん大丈夫」
「あとそもそも俺がオトメの足に触って大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ。
それできれいになれるなら……それにあんたなら、別に嫌じゃないし」
「ん、じゃあやっていこうか。
まずは上履きと靴下を脱いで、素足になってくれ」
「わかったわ」
「んじゃ、やってみるか」
俺は親指をつまんで、指をくるくると回す。
「あ、いたたたたた」
「あ、うーん、結構詰まってるな」
ほかの指も同じようにし、そのあと足の裏を1本ずつ指の先から根元まで、数回ずつさする。
「あはははは、くすぐったいって」
「足裏は割と大丈夫みたいだな」
両手で足首をつかみ、ふくらはぎから膝まで、10回さすりあげたあと、親指と人差し指の間にふくらはぎをはさんで、ぎゅっとふくらはぎから膝まで、10回さすりあげる。
「いったーい、私、こんなことされるの初めてだから、もっと優しくしてよぅ」
「お、おう、ふくらはぎはかなりやばいな。
こうやって足にたまった老廃物を膝の裏の膝窩リンパ節に流し込んでやれば、最終的にそれは体外に排出されるんで、足も体もすっきりするわけさ」
「ううう、こんなにいたいなんて……」
「オトメはもうちょっと水を飲んで汗や尿で老廃物を体外に出しつつ、血行をよくするためにも、散歩した方がいいと思うぞ」
「わかったわよう……」
「あとな」
「あとは何?」
「いや、さっきの言い回しなんかエロかった」
「え?」
「”私、こんなことされるの初めてだから、もっと優しくしてよぅ”って言い方はどうかなと」
「わわわ、私に何言わせんのばかー」
「いやあ、そっちが勝手に言ったんだけどな」
「あーもう、ほんと何言わせるのよ! ばかー」
「まあそういうとこも、かわいいんだけど」
「かかかか、可愛いって真顔で言うな! ばかー」
いや本当に
まあこんな感じでグダグダ撮影したが、再生回数は3万回を超え、チャンネル登録も1000人を超えた。順調すぎて少し怖いな。
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