376 グレンフラー
ここは領都サウザニアの場末の酒場。
冒険者ギルド解体主任グレンフラー行きつけの店である。
彼が座るのは決まって最奥のカウンター席。そこで酒を2、3杯飲って帰るのがルーティン。
カランカラーン
背後でドアベルが鳴る。来店客だ。
凡そ賑わうことの少ないこの店は来客の少なさからも孤独を愛する常連客には重宝がられてれていた。
「グレン」
クイっと顎を上げてお前の来客だと伝えた店主。体格のいい大男がグレンフラーの横に座る。横を向きもせず、グレンフラーが声をかけた。
「久しぶりだなロジャー」
「相変わらずしけた店にしけた面だなグレン」
「ほっとけ」
「だがこの店は俺も嫌いじゃない」
ニヤリと笑った大男がマスターに告げる。
「マスター俺も同じものを」
こくんと頷く店主だ。
「でロジャー。お前さんが来たってことはそういうことか」
「それ以外にあるまい。それ以外なんでこんな領に俺が来る必要がある」
「フッ」
「マスター。店ごとヴィヨルドに来ないか。歓迎するぞ」
両手を広げてお手上げのポーズをとる店主。
「俺もタイラーもこの店の距離感が気に入ってるだがな」
「で?」
「ああ。仕込んだ」
「そうか」
「近いうちに結果が出る」
「‥‥」
「グレン。そろそろ覚悟しろ」
「俺はこのまんまダラダラと生きていきたいんだがな」
「フッ。そろそろあいつに借りを返してもいい頃だろう」
「‥‥」
「といってもあいつが亡き今もお前のやることは変わんないがな」
「‥‥」
「まあ秋にこっちに来い。詳しくはそれからだ」
「ロジャーお前も女の尻に敷かれるのか」
「ガハハハ。案外思ったほど悪いもんじゃねぇぞ」
「どうだか」
「泊まってくのか?」
「いやこのあと久しぶりにモンデールの顔を拝んでから帰るわ」
「そうか」
「じゃあな相棒」
「じゃあなロジャー」
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今号はとっても少なくてごめんなさい。
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