104 領都学校の卒業


あれから2ヶ月が過ぎた。

村はすっかりきれいに装いを変えた。


復興中の村には、活気も生まれてきている。



いつもの剣の修行。

あれ?

今日は叩かれないぞ?


「よしアレク行ってこい。ヴィヨルドなんぞに負けるなよ」


えー!?

初めて師匠からほめられたよ!



後期教会学校を卒業した。

あっという間の3年間だった。

最初はシャーリーと2人して田舎もんと揶揄われた。

(今もデニーホッパーの田舎もんだと自負している)

が、今ではその揶揄った3バカたちとは大の仲良しになった。

頑張り屋のシャーリーは後期教会学校でも40人1位2位の座学の成績だ。水魔法も今ではLevel3を遅滞なく発現できる。

シャーリーはこのまま領都学校に通い6年後に王都学園を目指すという。

他の仲間も皆、領都学校に進むそうだ。


「アレクはどうするの?」


「俺も次はヴィヨルド領都学園だ。6年後、王都学園で会おうな」


シャーリーとはおそらく6年後の王都学校でも肩を並べて学ぶだろう。


「シャーリーまたな」


「うんアレク。実は私ね、前から私ね‥」


「「「アレクー」」」


「おー今行くよ」


3馬鹿仲間が呼んでいる。


「ごめん、シャーリーなんだっけ?」


「ううん、何でもないわ‥」


「そっか。じゃあ!」


「シャーリー‥どんまい」


シャーリーとは大親友となったミリアが慰めて言った。



前後期、教会学校での義務教育は終わった。今後の俺は6年間の高等教育に進む。

中原の他の国家同様、義務教育から高等教育までは、6・6・3の学校制である。

王国では各領内に高等学校がある。ヴィンサンダー領にも高等学校はある。

(663の最後の3は王都学園の3年だ)


俺は隣のヴィヨルド領領都学園に進学する。

ヴィヨルドは王国西側、大海に面した領だ。




卒業式にはディル師匠もシスターナターシャも来てくれた。

モンデール神父様が言われた。


「アレク君、このあとはいよいよ王都学園に繋がる最後の布石だよ」


「はい、わかってます」


シスターナターシャが言う。


「ヴィヨルドでも、勉強を疎かにすることなく頑張りなさいよ」


「はい。シスターからもらった課題もちゃんとやります」


最後に師匠が言った。


「行ってこい。ヴィヨルドの同世代に負けるとは思わんが、常に真摯に努力せい。夏と冬の休みにはちゃんと帰ってこい。修行の続きじゃからな」


「はい!」


「では行ってきます!」


「「「いってらっしゃい(いってこい)」」」



モンデール神父、ディル神父、シスターナターシャの3人が驚くほどの速さで、颯爽と旅立つアレクだった。


アレクが去った後姿を追いながら。


モンデール神父がディル神父に聞く。


「師よ。アレク君は?」


「ああ、今見た通りじゃ。格段に速くなった。ホークのおかげじゃ。ヴィヨルドでも、同年代はもちろん、もはやそこらの大人にも負けまい」


「シスター、アレク君は?」


「今は領経営を学んでますよ。向こうでの課題も出してありますし。意識も出てきました」


「モンデール先生、アレク君は今魔法はどこまで?」


「エルフのケイト先生が言ってましたよ。アレク君の肩にはシルフがいるって。精霊魔法を使えるヒューマンの学生はおそらく王国ではアレク君だけでしょう。

ヴィヨルドから戻って、もしまだ使えないようでしたら私が聖魔法を教えますよ」


「フフフ。あの子がどこまで行ってくれるのか楽しみですね」


「てっぺんまで行ってもらわなきゃ困るだろ。何せ王国有数の我ら、2つ名を持つ3人が師匠なんだからな」


「ホークさんを入れたら4人ですよ」


「そうじゃのー」


ワハハ

フフフ

あはは



第2部幼年編 完


ご声援ありがとうございます

応援がモチベーションになってます。

次回より第3部少年編です

次回 ヴィヨルド 11/21 12:00更新予定です

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