097 準備


「ピーナさんこんにちはー」


「こんにちはアレク君。今日は何?」


「俺、たぶん来年他所の領に行くんだけど、他所でもギルド登録ってできるんだよね?」


「大丈夫よ」


「たぶんヴィヨルド領に行く予定なんだけど、ヴィヨルドのギルドでもお金を下ろしたり、預けたりもできるんだよね?」


「もちろんよ」


商業ギルドにて。

来年は他領、たぶんヴィヨルドの学校へ行くつもりだけど、授業料や寮費他、そこでのお金も要る。

商業ギルドでは俺名義のお金が順調に貯まっているらしい。

(ピーナさんは、凄いんだからね!と五月蝿いくらいにいつも言う)

俺、お金を使うこともないし、家族も使わないからぜんぜん実感はないんだよね。

(母さんは俺が毎月渡す郵便屋さんのお金でさえ、俺のために貯金しているのを俺は知っている)


「ヴィヨルドに決まったら、先に教えてね。アレク君のことだから、また何かの新作を作るでしょ。向こうのギルドにも紹介状を出しておくからね」


「えー、ピーナさん。そんなの悪いからいいよ」


「何言ってるの!あなたが生むアイデアと売上にギルドも潤っているんだからね!ヴィヨルドのギルドにもせいぜい働いてもらわなきゃいけないわ!」


(それって俺がピーナさんに仕事させ過ぎてるってこと?)





「「「よおアレク!」」」


「うっすー!」


「今日も闘(や)るか?」


「闘る、闘る!」


鉤爪の3人組とハイタッチをする。あれ以来、仲良くなった若者冒険者だ。あれ以来、訓練場で一緒に稽古もよくやっている。



「マリナさん、俺鉄級(3級)まであとどのくらい?」


「アレク君、かなり速いペースよ。このままいけばあと1年くらいかな?」


こまめに弱い魔獣を追いかけて狩ってるのがいいみたいだ。

だいたい魔石のかけらのおかげで、そこそこ強い魔獣には相変わらず会えないからね。追いかけられる魔獣はチューラットや一角うさぎくらいだし。


今日はグレンさんの解体の手伝いをした。

こないだの借りもあるからね。


「グレンさん、俺ここを卒業したらヴィヨルドの学園に行こうかと思うんだ。どう思う?」


最近、会う人会う人みんなに聞いてるよな俺。


「ヴィヨルドか。強い冒険者も多いぞ。あそこはダンジョンも多いし、黒の森もあるからな。つえー魔獣もいっぱいるぞ」


グレンさんからヴィヨルドの話やヴィヨルドのギルドの話を聞く。


「お前が行くんだったら向こうの解体屋にも話しといてやるよ。

あとな、ヴィヨルドの前ギルド長と知り合えたら、いろいろ教えてもらえ」


「うん、グレンさんありがとう」


なんとなく行きたかったヴィヨルド。

この頃は真剣に考えるようになった。


次回 マヨラー爆誕 このあと連続投稿です

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