019 連鎖
モンデール神父様が説明されたことには、父上の死は毒殺らしい。
「えっ!?そんな‥‥」
「ショーン坊っちゃんには辛いことですがな。これは事実なんですじゃ」
「誰が‥‥なんで‥‥」
「もしかして‥‥」
「はい。ショーン坊っちゃん‥‥」
その疑いが濃いのは家宰のアダムと継母オリビア。
「アダムと継母が‥‥」
「ここからはお気をたしかにお聞きくだされよ」
「えっ、まだ‥‥」
父上が毒殺された。それだけでも重大な出来事なのに。まだこれ以上のことがあるのか‥‥。
「お父上だけではないんですじゃ。実は次はの‥‥」
そして次に狙われるのは俺だという。
「なぜ俺が‥‥?でも‥‥」
ひょっとして、と思わなくはなかった。家宰アダムと継母オリビアの顔が浮かぶ。
父上が倒れてから以降と、更には父上の葬儀のあと。
家宰アダムと継母オリビアのはっきりとした明確に敵意のある言動。なるほどそういうことを考えていたのかもしれない。
「ショーン坊っちゃん、ちょいとすまんが、口を開けてあーとできるだけ長く息を吐き続けてくれますかの」
「えっ?は、はい‥」
薬師のルキアさんが俺の目の前に来て言う。中高年とはいえ、触れ合うくらいの距離で女性にこう言われた俺は思わず赤面をする。
(これがタマだったらどんなに嬉しかろうとも思った)
「あーーーーー」
ルキアさんが少しだけ顔をしかめる。
(えっ⁉︎俺、昨日餃子食ったっけ?歯磨きしてなかったっけ?)
無駄に転生前の知識が出てくる。こんな状況でも、未だに半ば他人事みたいに考えている俺だった。
「ショーン坊っちゃん、これから便所に行ってこの器におしっこを入れてきてくれますかの」
「うん。わかった‥‥」
ルキアさんから半透明の器を渡される。プラスティックのコップみたいなものだ。
その器は薬品を作ったり、試薬の実験などに使うものらしい。透明なスライムの表皮を乾燥させて作ったものだそうだ。
(この世界にも尿検査があるんだ)
転生前。
長く病床にいた俺は毎月の尿検査は慣れたものだった。
「はい。ルキアさん。おしっこ‥」
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