5

次の日から学校でつきまとわれた。


「あの、わたくし、実は」


「え、なにかな?」


わざわざ、高校の校舎までやってきたれんこちゃん。まあ、中学の隣にあるけど。


「あなたのことが好きなんです!」


「え、なんで?いつ?え?」


「わたくし、強いお方が好きなのです!」


ええー?


そうして、れんこちゃんがつきまとうのが当たり前になった。


「わたくし、お料理もするんですのよ?」


「へーすごいすごい」


もうやめてほしいのに、聞き入ってくれない。諦めが悪い。


「でも、もういいから。僕は別にれんこちゃん好きじゃないから」


「それでもよいのですわ!」


生意気なこと言うなぁ。

このことを、柔道部以外の友人に相談してみた。


「え?お前につきまとってる躑躅?あの子かわいいよなー」


「え、そう?」


「美人だし。何人も告ってるらしいけど?」


「え…んん?」


「武告れば?確実オッケーだし?」


な、なにぃ?告られてるのは僕なのですが?


「れんこちゃん、君もてるのに、なんで僕につきまとってるの?」


「そ、それは…あなたのことが好きだから…ですわ」


少し照れながら言うれんこちゃんを見た。今まで適当にあしらってたけれど…


「な、なにかしら?わたくしなにかおかしくって?」


なんだ、普通の女の子なのか。


「付き合ってあげようか?」


「ま、まぁ!ほ、本当ですの?」


天にも舞い上がるような嬉しそうな顔。あぁ、この子は不器用なのか。勘違いされやすいし、一人で突っ走るのか。


「で、付き合ってなにしたいの?」


「手を…繋いでみたいですわ」


なんだ、簡単だ。そんな簡単なことも言えないのか。練習では肩とか掴んでるのにね。

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