屋敷の窓からこんにちは
明璃
プロローグ
ある街の鬱蒼と樹々が生い茂っている一角に、綺麗なラピスラズリ色の屋根を持つお屋敷がありました。
そのお屋敷は外観からするとかなり古い建物の様に見えるのに、不思議なことにその建物は古い個人の邸宅にしては珍しく三階建ての構造で、その上に高い搭のある造りをしていました。
その建物の二階の一番左端の部屋の窓から上品なレースのワンピースを身に着けた女の子が外の様子を見ていました。
お屋敷の女の子は今日も部屋の窓辺で、お気に入りの蔦が絡まるようなデザインが彫られたマカボニーの椅子にゆったりと腰かけて人間観察を楽しんでいます。
外の世界の皆様は相変わらず忙しそうね。
今日も私はここからその様子を楽しませてもらうわ。
彼女は屋敷の中から外の様子を観察してあれこれ想像したり、謎を解き明かしたりして時間を過ごすのが常でした。
謎解きならば外に出かけて直接調べに行ったらいいだろうに、と家人からは言われますが、外に出て直接調べに行くのではなく部屋の中から見て考えるのが面白いのよと彼女は思っていました。
だって直接話しかけてしまったら、そのせいでその人たち言動に影響を与えて結果が変わってしまうかもしれないもの・・・。
そんなのはつまらないわ。
私は人間のありのままの行動や思考や感情を知りたいの。それが面白いのよ。
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