第15話
「ありがとうございます。んじゃ、気が変わらないうちに魔法契約しますぜ。契約内容は、この部屋で話した内容は、俺ら3人の同意がない限り他者が知る事はない。これでどうです?」
「なるほど。それなら盗み聞きも防げるな」
「そうっす。もう知ってる人はどうしようもありませんけど、俺が伝えたのはテレーズ様だけだし大丈夫だと思います。契約内容はちょっと強引ですけど、これなら筆談で伝えることも出来ません。聞かれてないと思って話そうとしても、会話が出来ない場合はどっかで誰かが聞いてるし、紙に書いて伝えようとしても書けないし、メモを他人が見たら文字が消えます。いいっすか?」
「ああ、構わない。契約内容にも抜かりがないな。僕の護衛は外に居るだけだからこの部屋の会話は漏れていないよ。既に対策済みのようだけどね」
「めざといっすね。自己紹介したあたりでこっそり防音の結界張ったんすけど」
「え?! 全然気がつかなかったわ」
「簡単な魔法なら、無詠唱でも良いからな。気づかれた事はなかったのになぁ。自信無くすぜ」
「マックス殿を警戒していたからな。僅かに魔力が漏れていたが、すぐに防音の結界と分かったから止めなかった」
「なるほど、さすが王子様っすね。エルザと同時に魔力検査を受けたんなら魔法を使うようになって数ヶ月なのに、もう魔力感知できるんっすね。俺は魔力感知を習得すんのに1年かかりましたよ」
「何故か僕は他の人より習得が早くてな。シモンの方が僕より5倍も魔力がある筈なんだが……おかげで、余計ギクシャクしてしまってな」
「へぇ……なるほどねぇ……」
マックスはなにか考え込んでいる様子でしたが、すぐに魔法契約を始めました。魔法契約は魔力がなくても参加できます。契約の証に3人の手の甲に紋章が浮かび、すぐに消えました。契約内容を理解して了承すると消える仕組みです。理解していないのに無理矢理了承させたり、騙したりすると消えません。
平民では使われていないとは知りませんでした。商売の契約などにも便利なんですが、よく考えたらマックスの言う通り魔力消費がとても多いです。確か、魔力を最低でも500以上は使うのではなかったでしょうか。今回の契約は縛りも強いですから、もっと魔力を使うかもしれません。マックスの魔力量はどのくらいあるのでしょうか?
ケロッとしていますから少なくとも1000くらいはあるのでしょうね。
「これで契約完了ですね。ちゃんと効いてるか確認して良いっすか? ジェラール様、外にいる護衛の人呼んで下さい。口が固い人をお願いします」
「ああ、分かった」
ジェラール様が外に出ると人が呼ばれ、魔法契約が効いているかを確認します。問題なく効いている事が分かりましたので、すぐに外に出て頂きました。
「彼は僕に忠実だから、口止めをすれば絶対誰にも言わないよ。さ、話を聞かせてくれるかな?」
「そうみたいっすね。俺、ずっと睨まれてました。怖ぇっすよ」
「すまないね。マックス殿が居たから警戒したみたいだ。詮索をしないように指示したから、安心してくれ」
「分かりました。ま、俺は王族に魔法契約した無礼者ですから睨まれてもしゃあないっすね」
「いや、僕も魔法契約が出来るからな。僕が魔法をしたことにしてある。でないと不自然だろう? さ、そろそろ話してくれるかな?」
「お気遣いありがとうございます。んじゃぁ話しますけど、俺がエルザと出会った時の魔力は500くらいでした。普通の人より多いですけど、魔法を大量に使える程ではありません。魔法契約したら魔力切れでぶっ倒れます。でも、エルザと過ごしている時はずっと魔法を使っても魔力不足になりませんでした。今だって複雑な魔法契約したのにケロッとしてますよね?」
「……まさか」
「さすが、王子様は察しが良いっすね。多分、ジェラール様も魔力検査の時より魔力が上がってますよ。テレーズ様も魔力が上がったそうです。そして、テレーズ様のご両親やお兄様は、何故か魔力がどんどん減っているそうですよ。シモン様も、エルザが親友だって言ってたご令嬢も同じです。ついでに、シモン様の側近も魔力が多かった割に魔法を覚えるのが遅いそうです。魔法を覚えるには練習がいります。魔力が高ければたくさん練習できますから習得が早くなります。つまり、魔力が減ってるって事です。魔力なんてそんな増減しねぇっす。なにか、特殊能力でもない限り」
「特殊能力?」
「そ、エルザには魔力はねぇが特殊能力があるんだよ。ちゃんと調べてねぇから詳細は分からねぇけど、エルザが好意を持った人物の魔力が上がる特殊能力で間違いねぇと思うぜ。俺も以前受けた事があるからエルザと過ごしているうちに気がついたんだ。エルザの特殊能力は俺が前に受けたモンよりでけぇ。かなり強い特殊能力だと思うぜ。だから、エルザが見限ったシモン様や元家族、元親友の魔力が減ってるって事だ。正確には、エルザの能力で上がってた分が減って、本来の自分の魔力になっただけだけどな」
「うそ……わたくしに特殊能力があったの……?」
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