100日後に好感度が100になる彼女

味噌わさび

第1話 好感度1

 俺、才見仁は、ついに発明した。


 それはまぎれもなく、好感度上昇アプリであった。


 これを作るのに、おおよそ一年かかった。


 まぁ、一年でこれを作れてしまうというのは中々天才な気もするが。


 そのアプリを使用するのは、俺の隣の席の少女、氷川冷華である。


 黒く長い綺麗な髪に、鋭い瞳は、それこそ、氷のような印象を与えてくる。


 華奢な体つきだが、かといって、女の子らしい部分はしっかり女の子らしい……簡単に言ってしまえば、俺には高嶺の花の存在だった。


 去年一年、氷川は俺の隣の席だった。しかし、まともに話をした記憶はほとんどない。


 学年が変わったというのに、また隣の席になってしまった


 いつも、無表情で何を考えているのかまるでわからない。おまけにどう考えても俺のことを馬鹿にしている。


 だからこそ、俺は氷川にアプリを使用することにしたのだ。


「おい、氷川」


 放課後、授業が終わった途端に、俺は不躾に氷川を呼びつける。氷川はこちらを見る。


「何ですか?」


 こちらに顔を向けた氷川。その先には俺のスマホの画面があった。画面を対象者に見せれば使用したことになる。


 怪訝そうな顔で俺を見る氷川。俺は今一度スマホを見る。


 アプリの調子を見ると、氷川はアプリの対象として設定されたようだが……。


「用がないなら話しかけないで下さい」


 氷川はそう言って立ち上がり、教室を出ていった。


 アプリで、増加した好感度を確認すると……「1」とだけ表示されている。どうやら、好感度はしっかり増えているようだ。


 どうやら成功のようだ。あと、100日……!


 アプリの増加上限設定は100に設定している。


 氷川に会えない休日なんかは増加しないが、基本的に俺が氷川に一日一回会えば、増加するシステムになっている。


 100日待てば、氷川はきっと俺にメロメロになるのだ……!


「ククク……お上品ぶっていられるのも今のうちだからな……!」


 俺はなんだか邪悪な気分になりながら、次の日からを楽しみにして、教室を去っていったのであった。

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