夏の女王

竹村いすず

1. 女王の国


 ――私は「女王の国」にいる。


 十五歳の時ここに来た。


 私は真夏になると、必ず政府に申請して山の別荘で過ごすことにしている。

 人気がある避暑地はなんといっても海なので、深い緑に囲まれて、比較的静かに真夏を迎えることができる。 崖を回る遊歩道からはネット越しとはいえ遥か真下の白い砂浜も見渡すことができるし、わざわざ海の近くにいかなくても……こうして筵に寝転んでいると、私の瞳の裏にはいつだって波が寄せて、耳には潮騒が届いている。

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