旧友との再会

 少女改め恵里を再び寝かすと訪問者が。玄関扉を叩く音がする。

「はーい」

返事をし、扉を開ければ懐かしい声。

「やっと復活したんだって?アカネ」

「そうじゃ。久しいのう、ローズ」

 扉の前にいるのは真っ赤な髪と真っ赤なチークが印象的な女性。白い透き通るような肌の上に漆黒のワンピースと帽子を着た魔女。長い髪を揺らしながら箒片手に立っている。

「長旅で疲れておるじゃろう?とりあえず入るのじゃ」

「本当に疲れたよ。何しろフランスから飛んできたんだからね」

 箒を入り口付近に立てかけながら話す彼女は遠い目をしている。

「ご苦労様じゃ。それにしても、相変わらず綺麗な髪をしておるのお」

髪を手でとかしながら話せば

「貴女こそ、相変わらずお洒落な格好ね。言葉を借りれば……ハイカラよ」

右に曲がり、リビングへ。其処からは懐かしい旧友との世間話。復活してから連絡を取ってはいたがやはり対面で話す方が話が盛り上がる。

「なんと、ルージュの血筋が絶えかけていると」

「そうなんだよ。私とアカネが最後なんだよ」

 そこでローズはふと思い出したように問うてきた。

「ねえねえ今さ、弟子とかいるの?」

興味津々といった感じだった。

「弟子はおらんが、その候補が一人おる。ローズはどうなのじゃ?」

「私も一人いるよ。もうすぐ来るんじゃ無いかな。あの子東京の街並みに夢中になってなかなか動かないから置いてきちゃった」

5、4、3、2、1とカウントがされる。丁度0になった時また玄関扉がノックされる。

「あ、きた」

そういいローズは弟子を迎えに行く。どんな子だろうと心を躍らせているとやって来たのは男の子。

「これは珍しい。男の子かえ?」

問いに対する答えは

「いや、俺の生物学的な性別は女だ」

低いアルトの声。短髪の髪は一房だけ紅く染められている。黒いパンツとシャツ。赤みがかった黒のネクタイがカッコいい。

「ほお。それは失礼。妾は茜、24じゃ。其方、名と齡を聞いても良いか?」

「ああ。俺はバーミー。10歳だ」

キリッとした目をさらに細めて笑う彼女。恐らく恵里と同い年だろう。此処にいてくれたら良い話し相手になるだろうな、そう思いながらローズに問う。

「それで其方達はいつまで此方に入れるのじゃ?」

向こうでの仕事もあるだろうから長くは居れないだろうと覚悟していた私。その予想は嬉しいことに裏切られた。

「いや、一、二年は帰らないよ。本庁から貴女の監視を頼まれてね」

監視は不満だが長く共に暮らせるのは嬉しい。

「そうか。なら部屋を準備せねば」

立ち上がり二人に声をかける。

「よろしくね」

「よろしくな」

 バーミーからは不安も垣間見えるが何とかなるだろう。これからが楽しみだ。

 すると奥から物音が。恵里が起きたのだろう。これから忙しくなるな、と思いながら二人に部屋を指示し一人で寝室に向かう。

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