超売れっ子女性声優と平凡な女子大生が付き合っている話

そふぃ

第1話 二人のこと①


【登場人物】

小部菜々おべなな→女子大生。料理が上手。少し天然。サバサバしてる一面も。スイーツが好き。琥珀ちゃんに一途。女の子と付き合うのは琥珀ちゃんが初めて。


宮村琥珀みやむらこはく→超人気声優。包み込むような優しさをもつお姉さん系。辛い食べ物が好き。菜々ちゃんが大好き。元カノが一人いる。


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誰にでも秘密がある。



それは、親に隠れてゲームに課金したとか。

実は、熱狂的なオタクであるとか。



最近だと、スパイとか殺し屋とか超能力者とか言うカッコいい秘密を持っている人もいるとか。



ごく普通の女子大生の私、小部菜々(おべなな)にも秘密がある。


それは、超売れっ子女性声優と付き合っていることである。




彼女のSNSのフォロワーは、100万人越え、武道館で単独ライブも行うくらいの人気声優である。



なんでそんな彼女と付き合えたか私自身も未だに分からないが、まぁ秘密のお付き合いをしているのです。



一応世間からの知名度が高い彼女なので、恋人がいるとなるとゴシップになる(?)かもしれないし、まぁ女の子同士の恋愛なので秘密にしている。


最近は、そう言うのに理解がある人が増えてきたとはいえ、まだまだ敏感な話なので、お互い誰にもカミングアウトしていない。



女性声優がレズビアンというのは、前例があるのだろうか。


そういうのって、世間から受け入れてもらえるもんなのかと勝手に考えこんでいる。



因みに、彼女とは同棲している。

1LDKの都内マンション暮らしだ。東京なので、1LDKでも家賃は高い。学生の私は頑張ってバイトして、家賃を半分払うと言ったが、彼女は許してくれなかった。


彼女は、かなり稼いでいるらしい。

詳しい額は聞いたことないが、普通のOLの倍は稼いでいるみたいだ。

「稼ぎのある私が家賃を払うから、菜々ちゃんはバイトに明け暮れるのではなく、学生生活を楽しんで欲しい」と言われた。


なんと優しい彼女なのだ。

ただ、そのままお言葉に甘えるのは、流石に彼女に悪い気がしたし、彼女に世話して貰うプータローにはなりたくなかったので、忙しい彼女に代わって、家事を積極的にしたり、自分の洋服代や化粧代などはバイトして稼いだりしている。





カチャッ



「ただいまー!」


仕事が終わった彼女が帰ってきた。



「おかえりー!」


私は、玄関先まで小走りで移動し、彼女に飛びつく。



「わぁー嬉しいお出迎え!」

彼女がそう言う。



お互いをぎゅーっと抱き締める。


この時間が好きだ。



抱き締めながら、彼女の胸に顔を埋める。

いい匂い。安心する匂い。

柔らかくて大きいおっぱい。

顔良し、性格良し、声良し、おっぱい良し。

あぁ、神様は彼女に一体何物お与えになるつもりなのか。



「あー!菜々ちゃん今、おっぱいや~らかくて大きいとか考えてたでしょ!もーえっちな子!」


「えへへ、ばれた~」


これが典型的なバカップルの会話である。


だって寂しかったんだもん。仕方ないよね。


現在時刻24:00。


出演しているアニメの生放送特番があったらしく、この時間に彼女は帰ってきた。



今朝もアフレコがあるからと早く出勤したので、半日以上離ればなれだった。



「お風呂沸いてるよ」



「ありがとう。明日も早いし、入ってくるね」



先に入浴を済ませておいた私は、テレビを付けて、録画しておいた彼女がヒロインを務めるアニメを観る。



次の日が休みだったりする日は、一緒にゆっくりお風呂に入ったりするけど


最近は、彼女の仕事が忙しすぎて、その機会がなくなっている。



悲しいけど、彼女のお仕事を応援してあげたいし、彼女の裸を見るとスイッチが入って、イチャイチャ夜更かししてしまうから自制してる。

えらいぞ私。



ボーッと観ているともうエンドロールが流れる。


出演者の一番上に彼女の名前がある。


宮村琥珀みやむらこはく


相変わらず綺麗な名前だなぁと思う。

琥珀とかいう、儚げで尊い名前をつけてくれた彼女のご両親に感謝しなければ。


ご両親がお菓子の中で琥珀糖が一番好きだったから、娘にも琥珀と名付けたのだとか。



「あがったよー」

琥珀ちゃんは、濡れた髪をバスタオルで押さえながら脱衣所から出てきた。


いつも思うがお風呂上がりの彼女は、ホントにいい女だと思う。なんか艶めいていて、色気があって。


こんなとこ誰にも知られたくないな。


いくら声優・宮村琥珀のことを知っている人が100万人いようが、この瞬間の琥珀ちゃんを知っている人は世界で私一人がいい。それくらい独り占めしたい。




「ん?そんなに私のこと見つめてどうしたの菜々ちゃん」


「ううん、何でもない!寝よっか!」


「うん、そうだねー」




同棲するときに二人で選んだクイーンベッドで寝る。

「そういえば、さっきアニメ観たんだけど、琥珀ちゃんのキャラクター可愛くて面白かったよ。異世界転生するやつ。」


「観たの?よかった~!あぁいう可愛いに全振りしたキャラクター久しぶりにやったから不安もあったんだけど、、、」


「最近、お姉さんキャラが多かったもんね。」


「うん。明日もがんばるょ....」


彼女はベットに入って1分足らずで寝落ちした。


今日のお仕事相当疲れたのかな。


彼女の頭を優しく撫でながら、疲れがとれますようにと暗示をかける。

彼女の艶やかな長い髪からはシャンプーのいい匂いがする。


いつも寝るときは、なんとなく抱き合って寝ている。朝起きたら、離れてしまっているのに。

お互いの温もりを感じながら、誰も知らない私達だけの愛をこの空間にいっぱい満たして。


これが私達の秘密の恋愛。誰も知らない幸せな日常。

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