第1話
「ミークーローくーん、おーきーてー」
「……んむぅ」
今、天使の声が……って本当にいた!
「……おはよう」
「(パァ)おはよう!ねえねえ聞いて!ママがねママがね、今からミクロくんを家に呼んでいいって!ほら起きて、早くご飯食べて行こ!」
現在転生してから約12年。
俺は転生した。転生したときは「なんだ、転生か」くらいにしか思っていなかったのだが、十二歳にしてこの超絶美少女――リーミアちゃんに出会ってすぐに神に感謝をしたね。
過去に――
「お、またミクロとリーミアちゃんがイチャイチャしてやがる。ガキの癖に生意気だなぁコノヤロー。こんな天使みたいな可愛い女の子を捕まえて。全くこんな息子でいいのか将来心配だぜ父さんはよー。天使ちゃんが他に取られないよう頑張れよー」
「うるせえハゲ、その頭でよく母さん捕まえたよ」
「な…!人の気にしていることを……てめえも俺の息子である以上将来ハゲ頭確定野郎じゃねぇか!」
「(グサッ)」
「ミクロくん、大丈夫。私、ハゲでもミクロくんがいい」
「リ、リーちゃん」
――なんてことがあったときには泣いて神に感謝をしたよ。
ちなみにこの将来ハゲ確定問題は今後の課題トップ3に入る程度には気にしている。
まあ、魔法による打開策ももうすでにあるんですけどね(ドヤ)。
それは後ほど語らせてもらうとしよう。
部屋を出て、すぐ横にある階段を下る。
食卓には僕とリーちゃんの分の食事が並んでいた。
「あら、おはよう。リーちゃんがいる寝起きはどう?私がリーちゃんを誘導してあげたの。最高でしょう?」と、母さんが出迎えてくれる。
その顔……は受け継げたつもりだけど、その他の黒髪と黒い目は受け継げたのになんで髪質は受け継げなかったんだ……チッ、ほんとに胸もでかくて美人でおまけに学生時代はチョー強かったのだから、ホントよくあのハゲ親父は捕まえられたよ。
一応前世からそうなのだが、俺はポーカーフェイスキャラで通しているので、母さんには親指を立てておいて、そのまま椅子に座る。
一瞬あとに降りてきたリーちゃんには俺が親指を立てたところしか見ていなかったから「?」という感じだったが、母さんは「ふふ、幸せそうね」とだけ言ったあとに、「リーちゃんの分もあるからねー残さず食べなさーい」と、食事を促してくる。
「「はーい」」という声を合図に二人で朝ごはんを食べ始め、ご飯を食べ終わるとリーちゃん家に遊びに行き、夜遅くになったら仕事帰りのハゲオヤジが迎えに来る。
また、別の日は畑の手伝いをしたり、森で花を持ち帰ったり。
時には二人で自分たちの魔法を創ったりもした(考えるだけ)。
母さんも言っていたが、俺はこれだけですごく幸せだ。
とにかくリーちゃんと遊ぶのは楽しい。
俺は、これをスローライフというものだと知っていた。
だが、このあとのリーちゃんの言葉によって俺の生活はスローライフからかけ離れていくことになるのは、このときはちっとも思っていなかった。
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