老舗の終焉





紫垣しがき製菓の近くに住んでいた人達は、

真夜中の激しい音で目が覚めた。


赤く光る工場を見て火事と思っただろう。

そしてすぐに激しい爆発音が何度も響いた。


翌朝からはマスコミが集まり中継される。

現場からは怪我をした紫垣製菓の関係者が見つかり、

工場の火事と爆発が起こったと報道された。


そして連日の報道の中であるニュースが流れた。


紫垣製菓の食品偽装だ。


産地を偽った豆を使っていたのが発覚したのだ。

それは従業員からの告発だった。

粗末に扱われた従業員が上層部をかばう事は無い。

それに工場は破壊された。

従業員も仕事を無くしたのだ。


たちまちのうちに紫垣製菓は窮地に立たされた。

そして大々的な脱税までも発覚した。


転げ落ちると言うのはこういう事だろうか。


創業95年の老舗である紫垣製菓は

あっという間に跡形もなくなった。








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