第六十六話 逆鱗

 


 怜さんの咳払いが、話の終わりを告げた。


 途中で、ただ話を遮るようなことはしない方がいいと。一言も発さずに、ただ彼女の話に耳を傾け続けた。


 里葉のお姉さんの前で変な姿を見せるわけにはいけないと思って、一度は我慢した。だけどそれは段々と抑えきれなくなってきて。



 もう自分が、どんな顔をしているのかも分からない。



 世界が揺れ始めて、カタカタと湯呑みと皿がぶつかる音がした。

 屋敷の軋む音が響き、土砂崩れが起きているかのような轟音が、世界に響き渡る。


 青ざめた男が、柱に取りつきながら必死に叫んでいる。


「れ、怜さまァ! ど、どうかその……その竜から、お離れください!」


 顔を歪ませ男の方を見た怜は、強く否定した。


「……やめなさい! これが私たちの罪なのです。この怒りを、どうして否定することができるでしょうか!」



 ……気がつけば、竜の右目が開眼していて。


 右手には竜喰があり。


 体を、黒甲冑が包んでいることに気づいた。



 俺の感情に呼応する銀雪は、とっくのとうに口を怜さんに向けていて、いつでも氷の息を放てるようにしている。


 里葉以外の全てを……滅してしまえば……


「…………」



 一度、深呼吸をする。



「やめろ銀雪。きっと、俺の愛する里葉が里葉になれたのは、この人と……彼が一緒にいてくれたおかげだ」


 俺の指示を聞いた銀雪が口を閉じる。彼女は宣言した通り、全てを話してくれた。まさかこんな話が……有っていいはずのない話だったとは思わなかったが……彼女の消極的な姿勢といい、色々と辻褄が合う。


「……続けろ」


 右手で目元を覆う。今彼女に向ける視線が、どんなものになってしまうかわからないから。


「……今里葉は、自身の身を、引いては雨宮を守るため、白川家と暗闘しています。差し迫る我々の問題は、三つ」


 彼女が俺の顔を見て、生唾を飲み込んでいる。


「一つ。白川家の傘下に入るという締結。今、里葉が『才幹の妖異殺し』となったことにより、どうにか遅延できていますが……時が近い。それを覆すには、まだ力が足りない」


 竜の息を吐く。冷気がパキパキと音を鳴らし、宙にて爆ぜた。


「……っ。二つ。白川の家に入りたい雨宮分家の妨害。一度対立してしまった以上、もし白川の締結を回避できたとしても、彼らを通して間違いなく権力闘争は続きます」


 指先に、雷電が迸る。


「……そして、三つ。術式屋の不在。里葉が”雨宮最後の妖異殺し”と呼ばれているのは、文字通りそのままの意味なのです。雨宮直系のもので、最後の妖異殺し……彼らはどこかの重世界空間に身を隠しているのだと思いますが、どこにいるか見当もつかない」


 ずっと握っていた刀から、一度手を離す。それを見てもホッとした様子を見せない彼女は、そのまま続けた。


「……これらの問題を解決するのは、今の雨宮の独力では不可能なのです。そこで私は第三の問題の直接的な解決、そして他の問題の解決への助力になるであろう、”驚嘆の重術師”空閑肇の『ダンジョンシーカーズ』へ近づき、交渉を続けています。しかしながら白川の家が強大なこともあり、はっきり言って上手くいっていません」


「その白川とかいう連中は、強いのか」


「……強いです。彼らはずっと、様々な重家を取り込んで大きくなっていきました。血を紡ぎ続け、術を重ねたかの家は強大。今代も、天才剣術士と呼ばれる若き妖異殺しがいます。人材は、落ちぶれた雨宮と比べ物にならぬほど豊富です」


「…………それで。里葉は、今何をしているんだ」


「今里葉は……仙台でのPK事件……そしてプレイヤー襲撃事件の、白川家の関与を明らかにする絶対的な証拠を盗み出しに行っています。一度こちらがそれを手にし雨宮の重世界に保管すれば、彼らにそれを奪取する手段はありません。これを『ダンジョンシーカーズ』運営へリークし、重家の峰々へ公開することができれば、我らの存在意義、妖異殺しの誇りがある以上、悪に手を染めた白川家を放置することは許されなくなります。白川と他のものを戦わせ、締結を無効化する。それが狙いです」


「……そう、か」


 拳の震えが止まらない。

 彼女が隠していた全てを、俺は知ってしまった。知ってしまったからには、止まることはできない。

 彼女にはきっと、負い目があったんだ。自分のせいで、そんな障害を俺に押し付けるわけにはいかないって。


 ……無理やり押し倒してでも、彼女に話させるべきだった。


 しかし、後悔している場合ではない。直接剣を振るうような機会が何度もあるわけではなかろうが、今彼女は間違いなく戦場に身を置いていると言っていい。


 俺には、何ができるのか。そうやって、怜さんも無視して思索を始めた時。



 揺れ動く黒漆の魔力。暴れ出す竜の血。彼らが、何かに気づいた。


 竜の瞳が、見覚えのない光景を映す。

 背筋を駆け抜ける雷光。第六感となりて知らせるそれは━━━━


「里葉……?」








 風に靡くコートの裾。金青の魔力は透き通り、大気に溶け消えていく。

 駆け抜ける道路の上。過ぎ去る止まれのサインを無視して、彼女はただ足を回した。


 彼女の懐には、奪い去った白川と過激派の約定書がある。欲を出し、奴らすらも取り入れようとしたのが白川にとっての決定的なミスとなった。


 (このまま雨宮まで逃げ切れれば……! 行ける!)


 勝利を確信し、雨宮の妖異殺しとの合流を目指して、走り抜く彼女。約定書を盗まれたことに、あの小心者の男はすぐに気づくだろう。追撃の手が迫ることを考えれば、一刻も早く味方と合流し、撤退せねばならない。幹の渦を落とし、才幹の妖異殺しとなってから透明化の持続時間は伸びたものの、無限ではないのだ。


 嵐に煽られるように動く後ろ髪。突き進む道の中。

 桃色の残滓が、空を泳ぐ。


 ……近くに桜の木などないというのに、何故か桜の花びらが散っていることに彼女は気づいた。

 その姿を見た彼女は、瞠目する。



 (──この桜の花びら。魔力で構成されている……?)



 彼女は直感的に確信した。触れてはならない!


 体をひねり花弁を避けて、彼女は地を這う。


 瞬間。彼女はその先にいる殺気の正体に気づく。いや、気づかされてしまった。



 空を越え、世界を覆うようなその殺意。



 空。地。雲。大気。木々。路傍の石。まるでその全てから狙われているような感覚を彼女が覚える。それを受けて、彼女の透明化が揺らいだ。



「そこにおったか。小娘」


「!?」



 宙に立ち並ぶ妖刀。一本一本が触れてはならぬと確信させるほどの妖気を纏い、里葉目掛けて降り注ぐ。


 道路の舗装は粉砕され、土煙が舞った。


 跳躍しそれを回避した彼女は、即座に金色を展開する。それも、彼女ができる最大限を。

 春の陽光に煌めく金色の穂先。透明になり輝きを掻き消したそれは、凍雨となる。


 道路の中央。桜色の魔力を展開し、仁王立ちする女。


 瑞々しく年若い。黒紋付の着物にロングスカートを履き、結われた二房の髪は、桜の花びらとともに揺れる。左後頭部に挿された、桜のかんざしが陽光に煌めいた。


 彼女に連れられて、丸に剣柏紋の装具━━━━白川家のものたちが、行先を塞ぐように立ち並ぶ。


 白川の有象無象は、問題にならない。才幹の妖異殺したる己ならば、間違いなく突破できる。

 だがしかし。彼女が相対する黒紋付の女は、尋常ではない。


 そして里葉は、彼女が何者かを知っていた。


「ろ、老桜ろうおう様……」


「さようよ。雨宮の小娘。随分と見違えたのう。辛気臭い面をしておったが、今では随分と柔らかくなったわ」


 腰に右手を当て、カラカラと笑う老桜。随分と古風な言い回しをする彼女を前に、里葉の焦りは最大限に達していた。


 (まずいまずいまずい……! どうしてこの人が白川と雨宮に介入を……!)


 老桜。。現世に介入することを好まず、普段は重世界空間に引きこもっているという彼女が、何故白川に協力を。いや、そもそも何故ここにいるのか。


 彼女と戦闘など、できるわけがない。才幹の妖異殺しとなった己が身を以てしても、彼女に勝てる風景が思い浮かばない。そう、彼女は確信した。


「悪いのう。雨宮。妾は、ある話に乗っかってな。其の方が身、妾が貰い受けるぞ」


 瞳を魔力で煌めかせ、里葉を見据える老桜。その姿に冷や汗をかいている里葉は、まだ諦めていない。


 里葉が、左手首に隠れる白藤の花を凝視する。


「……お断り申し上げます」


 空に飛び立ち、相対する彼女。凍雨となった金色の槍たちは整列し、老桜にその穂先を向ける。


「ククク。これもまた一興。見せてみよ。雨宮の力を」


 その言葉を無視した里葉の凍雨が降り注ぐ。彼女たちの戦いについていけるほどの実力はないのだろう。白川の者たちは戦いに巻き込まれぬよう、一度後退した。


 目を見開かせた老桜が一度跳躍し、素手で飛来してきた透明の槍を勘で弾く。


「ハ! まさかこの妾に見抜けぬ隠蔽の術式があるとは! 褒めてつかわそう!」


 口角を吊り上げたその姿を見て、里葉は何の感情も抱かない。彼女と戦闘をしてはならない。ここは、逃げの一択。



「……透き通るように 消えてしまえば」



 彼女の存在が、世界に溶け消える。その消失を察した老桜が、笑みを霧散させた。彼女といえど、里葉の透明化は本当に見抜けないらしい。


「さて! どうくる雨宮!」


 上機嫌な声で叫ぶ老桜。それを無視して、里葉は全力疾走をする。


(今はとにかく雨宮の重世界へ……! もし突入してきたとしても、雨宮の城に無断で侵入したという事実さえあれば、あとはどうにでもなる!)


 表情を歪めさせ、駆け抜ける里葉。


(それに雨宮へ戻れば……きっと、きっとヒロがいるから!)


 彼女は愛する彼の勇姿を、頭の中で思い浮かべた。彼の実力は、今となっては里葉ですら把握できていない。彼ならば、いや、彼と共に立ち向かえるのならば、この状況を打破できる可能性がある。いや自信がある。


(……私だけじゃ勝てない!)


 距離を取る里葉。


 備える老桜に、里葉からの攻撃が来ることはない。気配がない。


 そう、感じ取った彼女は、転じて苛立ちを見せた。


「……実に、実にくだらぬ。興が冷めたわ。小娘。貴様の術式、確かに素晴らしきものよ。しかし、妾のようなものを相手に攻めに転じねば、敗北は必至だということが何故わからぬ」


 老桜が、桜の魔力を展開する━━!



「小娘。戦場いくさばにて、いくさを忘れたな」



 吹き荒れる桜の嵐。場を満たし降り注ぐそれを、回避する手段は今の里葉にない。


 透明化した自身に対する、飽和攻撃。自身の能力の弱点を突くそれを前に。


(こんな攻撃が来ること、分かっていた!)


 自分の能力の弱点は、自分が一番知っている。そして、地上が絶対的な死地であるということを彼女は確信していた。故に、盾を使い何度も跳躍を繰り返し、彼女は無窮の空へと逃げていく。


 道路の中央で仁王立ちを続ける老桜の姿が、里葉には豆粒のように見えた。桜の嵐とて、結局は魔力により生み出されたもの。特別な術式でもなくば、超広範囲には展開できない。



 遠く、桜の花びらが舞う地上にて。状況が掴めていない白川のものを見て、大きくため息をついた老桜は。



「────『夢幻の如く』」



 一人、小さく呟いた。


 重世界の扉が開き、魔力の奔流が彼女に集中する。




「え──?」




 空の上。突如として、訳も分からず彼女の透明化は切れた。となり、力を失った金色が彼女ごと落ちていく。


 勢いよく振り向いた里葉の目の前には、顔を近づけた老桜の姿が。


「眠れ。小娘」


 桜色の魔力で満たされた手刀が、彼女のうなじめがけて迫る。金青の魔力障壁を突き破り、突き進む桜の閃撃。とてもゆっくりに見えたそれに、彼女は自身が捕らえられることを確信した。


 武装の類は奪われるだろう。一級品の防具である自分の衣服も、間違いなく奪われる。


 最後に彼女の意識が向いたのは、左手首にて揺らぐ白藤の花。今の自分にとって、最も大事なもの。何度も大事なものを奪われてきた人生だったけれど、これだけはって。


 大水槽前。幻想的な光景を前に彼がくれた、とってもとっても大事なもの。思い出付きのこれを、いや思い出を。


(いやだ──くしたく、ない。奪られたくないよ……)


 才幹の妖異殺しである里葉の、本気の魔力。それが白藤の花を抱く。

 その透明化に成功した彼女は儚い笑みを浮かべた後、後方より感じた耐えきれぬ衝撃とともに、意識を手放した。






 気絶した里葉を肩に乗せ、ぶすっとした表情の老桜は苛立ちを隠さない。その様子に気づくこともなく、興奮した様子の白川の重術師が、彼女の元へ駆け寄った。


「おお! お見事ですぞ! 老桜様。まさかこんな簡単に、捕らえることができるとは。この鳴滝、感服いたしました。ささ、後は我々にこの娘をお任せいただければと」


「…………おい。貴様」


「老桜様の手を煩わせることはありませぬ。祝賀会までの間に我々が、この小娘に白川を仕込みます故。白川当主も心持ちにしておりまする」


「おい。貴様。ふざけているのか?」


 老桜が鋭く金的蹴りを放つ。直撃したそれに、股間を抑えた鳴滝は、顔を真っ青にさせていた。



「妾にとっては大した敵ではないものの、此奴はまさしく雨宮の名に恥じぬ妖異殺しよ。そもそも貴様らでは、この小娘を捕らえることはできまい。この小娘は、貴様らが御せる玉ではないわッ!!」



 魔力の波動とともに一喝する老桜。それは困るという表情をした鳴滝の姿を見て、老桜が鼻を鳴らす。


「貴様らが画策しておる祝賀会。それまでの間、妾が此奴の身を預かる。この小娘は、曲がりなりにもこの老桜と一戦交えたのだ。指一本でも触れてみろ。妾が貴様ら白川を、族滅にまで追い込んでくれるわ」


「……しょ、承知いたしました。祝賀会の後であれば、問題ないのですね。しかし、老桜様。その小娘が懐に隠している、約定書だけはこちらに渡して貰わねば困りまする」


「……ふん」


 里葉の懐を探った老桜が、約定書を発見する。それを鳴滝の前で広げ確認させた彼女は、魔力を使って約定書を燃やし、灰燼とさせた。


「これでよかろう」


「…………感謝いたします。老桜様」


「では、妾は祝賀会の日まで、この小娘と身を隠すこととする」


 肩に気絶した里葉を乗せた彼女は跳躍し、重世界の中へ潜り込んだ。









 その報告が飛び込んできたのは、怜と話をした、すぐその後だった。


 雨宮の妖異殺しにより確認された、その報せ。


 雨宮の重世界へ向かっていた雨宮里葉が、白川家の集団を連れた妖異殺し、老桜と交戦。その結果、雨宮里葉は老桜に敗北。里葉は重世界へと連れ去られ追跡不能となり、撤退した白川の集団は白川本家へと帰投した後、『祝賀会』とやらの準備を始めた。


 続けて、雨宮分家からある知らせが届く。


 二週間後。雨宮里葉の養子縁組をきっかけに、雨宮が白川の仲間になることを祝う祝賀会が行われるという。数多の妖異殺しの家やDS運営を集めるという大規模な催しの招待状が、の元に届いた。



 雨宮の重世界にて。


 天地を震わす、怒竜の咆哮が響く。世界がひび割れる轟音は、理性が壊れる音だった。



『『ガァああアアああああッッ!!!! アぁああああああ嗚呼ああアアああああああああああアアァアアァアあ嗚呼あああああ嗚呼アアああぁあああああああがあがああああああああアアッッ!!!!』』



 許してたまるものか。俺の、俺の里葉を。俺を救ってくれた、俺の里葉が。彼女は俺のもので、俺は彼女のものなのに。


 顔を掻き毟るように覆う。


 おねがい。さとは。


 きえないで。










 巫山戯た人間風情が。一匹残らず、喰い殺してくれる。


 この世全てを、飢餓に苦しむ戦国としてくれようか。




 息を切らし、振り向いた場所。


 へたり込み、涙を流してこちらを見る女の姿が見えた。女の容姿はどこか里葉に似ていて、怯えるその姿が、彼女に重なる。


 冷水を、少しだけ浴びせられたような感覚を覚えた。


「……ひろたつっ! まだ、終わったというわけではありません! 私は、雨宮は、里葉を取り返すために」


「おい」


「っ!」


「待て。俺は冷静になった。落ち着け」


 座り込んでいる彼女の前へ、ゆっくりと歩み寄る。しゃがみ込み、彼女と目線を合わせた俺は言葉を紡いだ。


「……怜。お前が、里葉を救うために動いていたことはわかった。話を聞けば分かる。無力ゆえに、叶わぬことが多いこの世界。お前はお前にできることを全力で、いつもいつもやってきたんだろう」


 揺らす体。黒甲冑の鉄の音が響き、陣羽織が床を撫でる。



「故に、雨宮怜。俺はお前に、選択を迫る。俺も、先ほどの貴方のように覚悟を問う。雨宮怜。俺の━━━━」




「この竜の、傘下に下れ。雨宮を糾合し、里葉を救出するため白川へ




「ありとあらゆる手段を使い、奴らを徹底的に潰すぞ」



 あちこちに罅が入り、扉とソファが吹き飛んでめちゃくちゃになった部屋の中。唖然とした彼女の声が響く。


「貴方……本気ですか?」


「俺は本気だ。今から二週間。一刻の猶予もない。俺は決して、この世界を滅ぼしたいわけじゃないんだ。里葉のいない世界に意味はなくとも、里葉はこの世界が好きだから。だが、俺は覚悟を迫る。躊躇なんて絶対にしない」


 里葉は、彼女を見て育った。彼女の意思は、この人から得たものなんだろう。ならば。


 右手を、彼女に向けて真っ直ぐに伸ばした。

 戦慄く彼女の震えが、ピタッと止まる。その瞳が、竜の金眼を通し未来を見る。



 迷いなんてない。力なく座り込んでいた彼女が、俺の手を取り立ち上がった。


「……分かりました! 倉瀬広龍。この雨宮家当主、雨宮怜は、貴方に賭ける! 全ては、愛する妹を救うために!」


「よし。それなら、今すぐいくさの準備をしよう」


 一刻の猶予もない。里葉を奴らから取り戻すための策を巡らす。


 竜の第六感により、どこかにいる彼女の存在を知覚した。

 里葉。待っていてほしい。どんな征途であろうとも、俺は君を迎えに行くから。



 

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