第9話 野良猫会議 

🖼 野良猫会議 


ノラの能力、っていっても、もう何でもあり、っていうことだけど、そのなかでも、「宝探し」って、どんなの?って聞いてみたら、

「お宝探し、だよ〜」ってしか、言わないし、何か指定すれば良いのかな?

ということで、では、ノラさん、このあたりで、金貨や小判ってあるのかな?

「う〜〜ん、あるみたい」 「どこに?教えてくれないかな?」

「うん、良いよ、連れてってあげる!」って、いきなり僕の手をとって「転移」した。

ここは?どこ? 「マッピング」してみれば、三浦半島でも、反対側の葉山のあたりだな、「空間察知」で、探してみれば、何と、あれは、裕次郎灯台付近の岩場からさらに沖に伸びている根の先のほう、そこに、海底洞窟?があるよ。水深で50mくらいか?

現場の真上あたりで、隠密しながら飛行停止して、地下探査してみる。

うん?確かに「金」の気配だな、「銀」もある、いずれも数枚?

それらを指定して「収納」する、目録には、

*慶長小判5枚 換算200万円x5

*慶長丁銀3枚 換算100万円x3

ということだね、こんなものが、海中の洞窟に落ちていたんだ・・・

丁銀は錆びて変色していたので、「清浄」「クリーン」で、ピカピカになったよ。

ノラは凄いな、ここに辿り着けるだけでも、「ここ掘れにゃんにゃん」かよ?

まあ、古物発見はいろいろ面倒っぽいので、黙って、いただきます。

ノラにとってのお宝って何なんだろうな? 聞けば、いまのところ、「僕から神気を吸収できること」って言うけど・・、つまり、僕が、いろいろスキルや神術などを使う時に出している「神気」が美味しいのだそうだ。


今日は、家でのんびりTVを観たり、読書したりしながら、鑑定の「マッピンング」を出しっぱなしにして、ノラたちの様子を観察している。

ノラ前クロ後ろ、の体制で、朝一番に向かったのは魚市場、そこで、まわりの野良猫たちと合流して、隣の漁港へ。

漁船が、続々と戻ってきていて、カゴや桶に入った獲物を下ろしたり、市場に運んだりと忙しそうなのをただ見ている。野良猫の一匹が出て行こうとすると、大きめな野良猫が、「にゃあ」で止めている?「もうちょっと、待ってろ!」とでも言っている感じ。

一通り、漁師さんの荷捌きも終わって、バケツを持って船から上がってきた漁師さんに向かって、野良猫たち、ノラたちも含めて、6匹、が、ソロソロと漁師さんのところへ集まっていく、そこに、他の漁師さんも、同じ用にバケツを持って来ている。

一人の漁師さんが、バケツの中から、大きめの魚を、ノラの前に置いたよ、これ、食え!ってことだな、でも、ノラは、それを咥えて、他の野良猫達のところまで戻って、奴らにその魚を与えた。

そんな様子を見ていた漁師達が、感心したように、バケツから小魚をどんどん、出しては並べてくれている、まるで、「さあ、お前たちの朝飯だ」って感じ?

ノラやクロも、2,3匹、小さいのを食べたようだな。

どうやら、バケツの中身は、雑魚、まあ、漁師さんにとっては捨てるものだね、網に入ったけど、商品価値も、自家消費でもない、小魚など、これを、野良猫達に与えてくれている。

しつけをされている、というよりは、ここの野良猫連中のマナー?が良いようだな。

食べ終わって、まず、ノラが「にゃあ」の一声、それに続いて、他の野良猫たちも、「にゃあ、にゃあ、・・・」大合唱だよ、どうみても、「ありがとう!」って聞こえるよ。

そのあとに、ゾロゾロと野良猫たちが向かったのは、漁港の隅の暖かそうな日陰、ここで、食後の休憩? 僕には、野良猫会議でも始まっている?って見えるけどね。

野良猫の目で見、感じたことなどを、話し合っているのかもしれないな。

この前の、幼児の件も、こんな野良猫会議で得られた情報で動けたしな、あの娘は、無事に家に帰れたようだよ、誘拐犯のことは、TVの神奈川版ニュースでもやっていたな・・・不思議な事件で、犯人なんかは、眠っているのに、うわ言のように自分の罪状を白状し続けていたらしいよ、これは、報道されたものではなく、野良猫の噂話だけどね。



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