第3話 家を買う 

* 家を買う


とりあえず臨時収入が手に入ったので、少し田舎だけど、一軒家を買おうと思う。

会社はリモートだしね、ノラも放し飼いのほうが良いかな?って思ってさ。

それに、僕には「転移」が有るじゃん? これなら、どこにでも住めるよ。


まあ、つじつま合わせとか、言い訳がしやすい?ように、せめて、通勤2時間くらいのところで探す。どこでも良いんだけどね、「マッピング」で、悪い気の満ちていない場所って指定して探していたら、横須賀の先、三浦半島。海と魚市場にも近いし、どうかな?って場所を見つけたので、そのあたりの駅の不動産屋に行ってみる。「転移」した。


少し敷地を大きめで選ぶと、・・・

古い屋敷が残っている敷地300坪の場所。

屋敷なしで、敷地300坪の場所。

新築家屋付きで、敷地200坪。

って出てきたけど、最初の古い屋敷付きの300坪を見せてもらうことにしたら、車で連れていってくれるようだ。


海岸通り、これきっと、夏場とか朝晩は渋滞するんだろうな・・、僕にはまあ、関係ないけど、その県道からいきなり山道を昇ったところが現地だよ。何と、目の前に富士山が見えるな・・・

立地は、まあ良いかな、家の周りの山?森林も残っているし、眺めも良い。それで、価格は500万円だよ。まあ、高くは無いかな? 屋敷は、ただ、みたいなものか?

取り壊すにも、お金は必要だしね。屋敷も見せてもらう。


確かに古いけど、ログハウスタイプの木造なので、柱が太くて良い。何故、古い家付きを選んだのか?って? 僕の持っている、「錬金」とか「神術」の能力で、なんとかできるんじゃないかな?なんて、思っただけだよ。

とりあえず、購入することに決めたので、不動産屋に戻って、書類を書いて、支払いを済ませて、登記などの手続きも進めてもらうようにした。それも込みの価格だからね。


上下水道や電気は、通っているので、あとは電話して開けてもらうだけ、ガスは無いので、プロパンだそうだよ。まあ、ガスは無くてもなんとかなりそうだな。

一通り契約が終わって、屋敷の鍵を渡された。登記はまだだけど、支払いも済んでいるし、売買契約書もあるので、所有権は、僕で間違いはないそうだ。

ということで、店を出て、早速、屋敷に「転移」で、戻った。


さあ、やったことないことを、いろいろやってみよう・・・

まずは、屋敷周囲の、雑草、ヤブ、雑木の撤去、ここの、見取り図もあるので、「マッピング」して、それでも可能なはずだけど、今日は、とりあえず、視認して、見ながらやる。

屋敷周り1mくらいを歩けるように、雑草や雑木だけを「収納」する。一瞬で、通れる道が出来た。

次は、日当たりも考えて、その周囲の森林から、適当に間引きする。実際に歩いていって、手で触れた木を「収納」、うん出来る。この調子で、邪魔と思われる樹木をかなり間引いていく。

屋敷に太陽光が指すようになった。


次は、屋敷全体を指定して、カビ、苔、つる草、などを「収納」で取り除く。

屋根や、窓枠、壁や木材の痛み、劣化などは、「錬金」の「修復」で直せた。

合わせて、「錬金」の「清浄」で綺麗にして、ここまでで、かなり、綺麗なログハウスが再生できた。

何が良いか?って、こんな奇妙な?ことをやっているのに、誰にも見られない、そういう場所なのが良い。


詳細を調べていたら、「錬金」の中に、「木造建築」「修復」「土木」「道路」「家屋」・・・ってあるよ、これらも使ってみたいな・・・

今度は、内装や内部造作などを「修復」で、どんどん進めていく。洗面所、風呂、シャワー、トイレ、などは、「修復」「清浄」「浄化」で、壁も含めて、すべてがピカピカになった。

壁、天井、床、すべて新品状態。薪暖炉もあったが、これも修復されたので、すぐにでも使えそうだ。間引きした木を薪にしておかなければ。お誂え向きに、「錬金」の「製材」なんてので、裁断も乾燥もできるし、何といっても、「収納」空間内で、すべて完結した。今、「収納」内には、出して直ぐに燃やせる薪がかなり保管されている。


水道が開けば、トイレの水洗も使えるだろう。風呂は、ガスか? プロパン会社と契約したほうが良いのかな? 試しに、「錬金」の「創造」で、温水を作ってみたら、出来るよ、温水も。でも、シャワーはどうすれば? できるかな? まあ、直ぐにできることを優先してやっていこう。

まずは、こっちの家と部屋を綺麗にしなければ、引っ越しも出来ないからね・・・


今度は、「鑑定」「マッピング」してみる、詳細な平面図と3次元の俯瞰図?が見える。

見える範囲をすべて「修復」する、瞬間だね、出来たようだ。

実際に見てまわる。もう、最初に見たときのボロ屋敷の印象はどこにもない。完璧な新築?の、ログハウスだよ。

明日の水道、電気の開通には立ち会う必要もないということなので、明日は向こうのマンションの片付けをしよう。



まずは、エアコンの取り外しと処分の手配、ネットの引っ越し手配、さて、すべてカラにしよう。家の中のものすべてを「収納」へ回収する。タンスや食器棚、本棚、ベッド、寝具一式、などなど、まるまる、全部そのまま「収納」へ納める。

あっと言う間に、全部なくなったよ、2t車一台分くらいかな。食器棚をまるまる「収納」しても、中の食器が動かないし、割れないのには驚きだ。本棚だって、そのまま「収納」で、本を取り出して箱に詰めて・・・なんて必要ないのが良い。


「転移」で、三浦のログハウスへ。早いな、すでに、上下水道と電気が開通している。プロパンガス屋の案内も入っているよ。

なので、とりあえず、元栓などを開けて、家の中に入る。

台所周りに冷蔵庫を出してコンセントを挿す。大丈夫だ、ドアーを開ければ、ちゃんと電気が付いているし。なので、この調子で、リビング関連、TVを出して配線してOK、寝室、書斎、と回って、「収納」から必要な物を出していった。


洗面所の蛇口をひねって、水を出しっぱなしにすれば、やや錆色の水が出てきて、しばらくして、きれいな透明になったよ。一応、水道の蛇口に向けて「修復」と「清浄」をかけておいたけど、まあ、目に見える変化は無い。きっと、うまくいっているんだろうと思う。

トイレも、排水口に向けて、「修復」「浄化」「清浄」を掛けまくって、排水。うまく流れているようだよ。

キッチンの流し台の蛇口と、排水口にも、「修復」「浄化」「清浄」を掛けて、水を出してみるが、もう錆びた水は出てこないようだ。

明日、今までのマンションの方にネットの工事が入るので、こちらでのネット接続はそれ以後だ。


そう言えば、ノラは、ここに着いたときに、どこかへ出かけてしまったが、まあ、腹が減れば帰ってくるよな、なので、僕は、先に食べよう。

「収納」から、スーパーで買い集めてきたものから、冷凍のボンゴレを出して、レンジで温める、電気ポットで湯沸かし、コーヒーを作って、デザートは、スーパーで買ってきたメロン、こんなところかな・・・


やはり、温水シャワーが欲しいので、プロパン屋に電話して契約しよう。

今日の午後には来れるっていうので、なら、早めに!ってお願いしたよ。

あとは、ネットの申込み、スマホから、選んで、申し込んでみた、配線、開通工事が、早くて3日後、っていうから、それでお願いした。10Gの回線速度だよ。ここは、まあ、戸建てだから、配線工事が必要なんだな。

新しい、PCは用意できているから、まあ、すぐに使える。最初に「錬金」の練習で作ったやつだけどね。「収納」にしまってある。


一旦、マンションへ「転移」して、最終確認、大家さんには、キリ良く、月末で退去する、って伝えてあるし、電気、ガス、水道、ネットも月末まで、エアコンの取り外し処分も、それまでに終わる。

なので、今、あとこの家に残っているものは、PCとモデム、それに、机と椅子。

ここには、ベッドも無いので、もう、帰ろう。


一度、電車で、三浦の別荘まで行ってみようかな、ということで、最寄り駅、品川から、京浜急行で、終点の三浦海岸駅まで、早いね、乗ってしまえば、1時間ちょい、だ。

なんだかんだで、まあ、2時間くらいの時間感覚を持っていないと・・「転移」がバレないようにね。

本当は三浦海岸駅からは、あまり本数の無いバスに乗り変えなんだけど、適当に「転移」して、ログハウスへ。


夕方、プロパン屋が来てくれた、忘れかけていたよ、危ない危ない。

まあ、ぎりぎりセーフで、契約も済んでプロパン一本が設置され、あれこれ説明されて、実際にお湯を出す。風呂釜や給湯器、台所の給湯器なども、既に「修復」済だからね、しっかりちゃんと動いてくれて、暖かいお湯が出てきた、やっぱ、感激だ。

普通のガス料金などとそんなに変わらないかな? で、次回交換時に、精算ということらしいよ。後払いだ。

これで、上下水道、電気、ガスが揃った。

ネットが引けるまでは、なるべく仕事は品川のマンションで、午前中に済ませてしまおう。緊急?などには、出かけるけどね、今は、行動も楽だし。


夜、うん、持ってきた照明器具もそのままというか、「修復」して綺麗になったものだけど、前よりも、明るくなったかな?

TV見ながら、何を食べようか?って思っていたら、ノラが帰ってきたよ。

こいつ、外歩きしているはずなのに、綺麗なままだな、羨ましい。・・そうか、神術か? 何をどうすれば、良いのかな?


「ただいま〜。ここ三浦は良いな〜魚は新鮮!」って、ご機嫌なようだよ。どうやら、一日中、三崎の魚市場でブラブラしていたらしい。

それで、綺麗な状態を保つのは、「清浄」「クリーン」などを自分に使えば良いって、さらに「状態維持」なんてのがあって、綺麗なときに掛けておけば、それ以上に汚れないんだってさ。そういうことで、お腹は一杯らしいが、しばらく僕の近くで、「神気」を吸収する時間らしいよ。


まあ、無事に、引っ越しも完了して、晴れて、三浦のログハウス生活なのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る