野良猫が「神気」を吸いに来てた

たかみつ

第1話 神獣との出会い

* 神獣との出会い


野良猫を飼っている?違うな、野良猫が僕のマンションの部屋のベランダに良く来るのをいつも眺めているだけ。餌付けをしているわけでも、水を与えたりしているわけでもない。

ただ、見てその野良猫を知っているだけ。窓を開けていても、平気でやってくる。


一つ不思議に思うのは、時々いろいろ咥えて持ってきて、僕に見せびらかす?僕への貢物?必ず一声「にゃあ」って鳴いて置いて帰っていく。

不思議な猫だよ。黒猫なんだけど、前足の先だけが白い。毛並みは良いよ、艶もあるし。これ?飼い猫?なのか?とも思うけど、首輪も付けてないしね・・・

いろいろ持ってきてくれる物は、まあ、あとでまとめて捨てるだけだから良いけどね、生モノは止めてほしいな、野ネズミとか・・・しかも、二回鳴いてから帰っていったよ。どこへ帰るんだ?

雨でも、晴れでも、台風接近でも、必ず来る、イヤ、来ていた。


まだ3日だけど、このところ来ていない。


4日目の夕方に、久しぶりに?やってきたよ。今日は、何か、ビニール袋を咥えていて、中に何か入っているな。

僕の見えるところに、それを置いて、「にゃあ」と一声。しかも、今日は帰らないで、そこに留まっているな、袋を開けろってこと?

ならと、ビニール袋を拾い上げて中を見てみると、まさかの、猫缶?しかも、これ、コンビニでも、上等な方?1缶500円くらいのやつだよな、それが2缶入っている。

これ、どうした? まさか買ってきたとかないよな、猫だし。誰かから盗んだ? もらった? 古くなって捨てられたのを拾ってきた? 一応、賞味期限やらを見てみれば、まだ、今月製造されたばかりの新品だよ。

と、先の白い前足で、トントンと足踏みして、「にゃあ」って、これを開けて食べたい?ってか?

手にしている缶を、開けるしぐさをすれば、それを見て、「にゃあ」、そういうことですね、はい、わかりましたよ。なので、缶を開けて、適当な器に移し替えて、野良猫の前に差し出してやったら、ムシャムシャペロペロ食べ始めて、アッと言う間に食べ終わって、一鳴き「にゃあ」で、どこかへ帰っていったよ。


* 神眼の指輪 


また、3日不通で、4日目の夕方、また、ポリ袋を持ってきた。中身は、猫缶が2個。

それに、今回は、何か小さなものが、缶に当たって、カラカラ音がする。

缶を取り出して、その小さい物を手にするが、おしゃれでも何でも無い指輪、プラチナっぽいけど、まあ、僕が付けていても違和感は無さそうな無難な奴。

それをじろじろ見ていたら、「にゃあ」って白い手先を、もう一方の手先でツンツンしている。まさか?これを付けろ、って言っている?よな。 なので、右手は邪魔っぽいので、左手の中指にはめてみるが、ユルユルで大きいな・・・なんて思っていたら、いつの間にか僕の指にぴったりサイズに変わった!? 何?これ、何かの小説なんかに出てくる「サイズ自動調節」付き?


なら、この指輪は? って指輪を見つめていると、僕の頭の中、目の前に、20インチTV画面くらいの半透明の画面が現れた。


*神眼の指輪 神器:神級:ミスリル製、鑑定、収納、錬金、転移、神気吸収、


って、まさか!?の、あの?異世界物の指輪? しかも、神級? 恐る恐る、野良猫を見ると、


*ノラ 神獣:シンヤの従神獣:神獣神術  


う〜ん、目眩がしてきたよ、僕は、まだ生きているよな? 今、時代は?今日は何月何日?時計を見るが、まあこのくらいかな? そうだ、と思って、スマホのロックを解除して見るが、確かに今日だよ。窓の外を見ても、ここは自分の部屋だし、日本だよな。

ただし、変わっているものがある。目の前の黒猫が白猫に変わっている。真っ白で、毛並みも良くツヤツヤ、健康そのもの、って感じの猫、この猫?の名前が「ノラ」だって!?


・・・困った! 確か、このマンションでペットを飼ってはいけない、って契約書に書いてあったよ。猫でも駄目だろ? どうしよう・・・


突然、白猫の姿が消えた。えええ~~どこに行った? ってまた現れたよ。どうやら、僕の指輪の中に入っていられるようだ・・・何か?聞いたら、答えてくれるかな?

まだまだ、完全理解まではいかないが、何となく解ってきたので、確認する。


僕の指輪の「神級異空間:収納」の中にノラも入れるってこと? 「にゃあ」

食べなくても良いの? 「にゃあ」

この前、猫缶を食べてたよね? 「にゃあ」

普通に食べることも出来るんだよね?「にゃあ」

食べるなら、普段は何を食べるの? 「にゃあにゃあにゃあ・・・」

って、僕の指輪を指しているので、指輪を「鑑定」してみれば、ノアの項目に内容が追加されている。


*ノラ 神獣:シンヤの従神獣:神獣神術、念話、


(念話って? 思ったことが伝わるのか?) (そうだよ)

あ〜、驚いた! (そうか、ノラの「念話」なのか?) (そう)


って、いろいろ教えてくれたよ。

もともと、僕には少し「神気」なるものが溜まっていたようで、それを吸収したいので、毎日会いに来ていたようだよ。で、今後は、この指輪を付けていれば、それこそ、自動的にまわりにかすかに漂っている「神気」を吸収、充填してくれるので、安心ってことらしい。何が安心か?って、ノラが食いハグレることがないということ?

その「神気」は、確かに空気中にほんの少しだけ存在しているようなのだが、人間では決して分からない、分析さえできないようなものらしい。「神気」は、「神術」使いだけが解るというものらしい。

う〜〜ん、何か、狐にダマされている?ような思いが無いわけではないけど・・・違うか! 猫にか・・・

でも、実際に色の変化した猫が目の前に居るし、その「鑑定」も出来たし、変な指輪の「鑑定」もできた。

試しに、窓から顔を出して、このマンションを眺めて「鑑定」してみれば、

*老朽化、耐用年数経過、鉄筋に異常あり、一年以内に崩壊60%・・

おいおい、なんか想定外の鑑定結果だよ、なら、早いうちに引っ越ししなければ、だよ・・・


少しづつ、慣れなければ、・・・だよな。



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