天使の梯子

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 それは気象のいたずらかもしれない

 けれどその美しさは単なる気象現象を超える

 自然はいつでも人の心を捉えて離さない

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 曇天もようやく晴れ間。

 見上げれば山の上。

 雲の切れ間から、日差しが光のカーテン、あるいは光のシャワーと。

 山や町に、時に空に向かって降り注ぐ。

 目の前ではなく、離れたところで。

 虹と同じく、気象のいたずら。

 触れたくても触れられない、伸ばした手の持って行きどころを失う。


「angel's ladder」

「angel's stairway」

「God Ray」


 日本語の妙、粋をしばらく語っていましたが、もちろん外国語にも素敵な言葉はまだまだあります。


 日本語だと「光芒」。

 あるいは「薄明光線」と気象用語としてあるだけ。

 「芒」には、ほこさき、刀のきっさきや、光、光の先端の意味ありますが、どうも直接的。

 ちなみに「草がぼうぼう」の「ぼう」は「茫」と書いて似ているけれど、違う。


 レンブラント光線との別名は、画家レンブラントが好んでそれを描いたからと言われます。


 ひるがえって、浮世絵や錦絵。

 私の感想でしかありませんが、「光芒」が描かれている印象はあまりありません。昔の日本人はそれに惹かれなかったのかもしれませんね、西洋人ほど。だから魅力的な、風流な言葉が出来なかったと考えられます。


 すがすがしい一日の始まりや、疲れて帰ってきた夕暮れなどに見ると、スピリチュアルは信じていなくても、自然の神秘に心奪われます。天の祝福は、自分だけでなく、地上すべてに降り注いでいるのかも。なんて。

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