故テオドール王の逸話
エドガーに関することは、古い
唯一書かれているのは、『雪が降っていた日に、ギザギザ山の土から生まれた』ということだけである。
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テオドール王が健在していた時、彼はエドガーに会うために、数人の従者だけつれて、わざわざヒノキ村まで出向いたことがあった。
当時の竜使いは、故ルークの父親。
四十歳だったテオドール王は、竜使いに頼んで、エドガーに切実な相談をするのを望んでいたのだ。
「エドガーよ。いや、偉大なるエターナル=ドラニコスよ……。どうか、私の悩みを聞いてくれないか?」
『エターナル=ドラニコス』とは、エドガーの本名である。
ある冬の終わり、その日は晴天だった。
竜使いの家の横で、テオドール王はエドガーに話しかけたのだった。
「……私は旧ニレ村の
「テオドールよ。……確かに、お前は優し過ぎた。周りの顔色を
だがな……、この予知の力を持つ竜でも、過ちを
エドガーは座りながら、テオドールに
黒い竜のレモン色の眼からは、慈悲だけではなく、深い悲しみも伝わってくる。
「
……当時、まだ『国』やら『法』やらが全く無い時代だ。
人間に歩み寄り、親しくなりたいがために、各地の一族の長の命で、反逆者への罰として、建物を焼いたり破壊したり、反逆者ごと
今になって考えると、独裁者たちの『
エドガーは、まだまだ話し続けた。テオドール王も、引き続き真剣に耳を傾けている。
「しかしな。小雪が舞う冬の終わりの日、数十人もの従者を連れて、お前の子孫であるサミュエルが、
……それからな、お前にも明るい未来が来ることを、すでに
エドガーの言葉を最後まで聞いたテオドールは、目を丸くしながら「今、何と……?」と
そして、エドガーは優しく微笑みながら、テオドールに再び語りかけた。
「お前が死んだ後になるが、次期国王になるアイザックと弟のオスカーが、キンキラ銀山絡みの
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テオドール王は病が原因で、四十八歳で亡くなった。そして、三十一歳だったアイザックが王位を継いだ。
エドガーの予言を信じていたためか、テオドール王は、とても穏やかな顔で別世界に旅立ったそうだ。
それから七年後、アイザック王が三十八歳、補佐官のオスカーが三十六歳だった時、エドガーの予言通り、二人は上記の偉業を成し
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