銀髪の青年(3)

 再びトーコがエヴァの家を訪ねた日は、夕方に近い時間だった。


 ドアをノックしようとした時、家の中からオズワルドの声が聞こえたので、トーコは無意識に片手を下げた。

 エヴァと真剣に、込み入った話をしている様子だというのは、ドア越しでも何となく分かった。


(聞き耳を立てたら良くないっ……よね?)


 そう心に言い聞かせても、、自然と耳に入ってきてしまう。


「……また、お願いしてもいーっすか、セントジョーンズワート?」


「毎年毎年、この時期に調子が悪くなるのは辛いね……。

 まあ、何度も言ってるけど、何かあれば、事情を知ってるアダムにも相談してみて。無理してまで、仕事はしなくていーからさっ」


「……ありがとうございます」


 オズワルドが外に出ると、ドアの横に居たトーコに気が付いた。


「あ……、こ、こんばんはっ!」


 低く手を挙げて、挨拶あいさつをしたオズワルドと目が合った後、トーコはエヴァの家の中に入った。


「……え、えと、カモミールをくださいっ」


「了解。いつものね〜」


 乾燥したカモミールの花を受け取って、ドアを開けると、オズワルドが横で背を持たれて立っていたので、トーコはすごく驚いた。


「ビッ……、ビックリしたっ」


「一緒に帰ろうと思って、待っていた」


「え、えっ! あ、うぅ、はい……?」


 トーコは混乱と緊張と嬉しさが混ざって、体全体が硬くなってしまった。


「ほら、行くぞ」


 オズワルドが早足で歩き始めると、トーコはあわてて彼のあとについて行った。

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