序 竜使いの娘

 ジョンの一人娘が、初めて黒い竜に会ったのは、三歳の時。


 ジョンは、前竜使いの長年の友人であった。

 父親に抱かれた幼子は、ヒノキ村の竜使いの家の横で座っていた、レモン色のの竜を見ると、キラキラと目を輝かせた。


「わあぁぁ!! おとぎばなしから、でてきたみたぁ〜いっ!」


(ほお……。コヤツは、なかなかの大物ではないか)


 おびえるのではなく、感嘆の声を上げた子どもに、竜はとても感心したのだった。




 時は流れて、サミュエル王の従者の子孫で、竜使いだったルークがこの世を去った時、ジョンの娘は十八歳になっていた。


 娘は、王宮の厩務員きゅうむいんだった。

 しかし、ルークが亡くなる直前に、彼だけでなく竜も懇願こんがんをしたことで、新たな竜使いに転職をしたそうだ。

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