第26話 ゴールデンウィーク1

「うあーー」


時刻は既に10時過ぎ、今日は一応水曜日だが別に弓弦がグレて学校をサボったという訳では無い。

今日からゴールデンウィークなのだ。

部活の練習日は木曜土曜で他は休みなのでこうして普段は学校に行っている時間に自室でゴロゴロしながら惰眠を貪っているのだ。


「予定のない休日ってやっぱり最高だな....」


別に弓弦はぼっち趣味では無いので誰かと遊びに行ったりするのは好きだし、中学から部活漬けだったので休みいっぱい部活するのも苦では無いが、

それはそれとして、一日中ただただ何をするでもなくダラダラすることの背徳感というものはたまらないのだ。


そんな感じで弓弦が部屋でゴロゴロしていると不意にスマホが震える。

誰かから連絡が来たようなので確認すると、


敦:弓弦今いいかー?


連絡してきたのは部活の先輩である敦先輩だった。

見てわかる通り全く忙しくないので直ぐに返信する。


弓弦:どうしました?


敦:轟先輩にボーリング誘われたんだけど折角だから1年も誘おうと思ってな


敦:今日暇?


弓弦:暇ですけど、1年1人はさすがに気まずいんですが....


敦:1年で適当に誘っていいよ、でも人数増えすぎてもアレだから2,3人にしてくれると助かるわー


弓弦:分かりました


それから集合場所や時間などを聞いて会話を終わる。

元々の予定では今日は一日ダラダラするだけの予定だったがゴールデンウィーク初日からだらけると休みが一瞬で終わってしまいそうなので遊ぶのもいいだろう。

それに先輩ともぜひ仲良くなっておきたい。

とりあえずここままだと1年生1人の地獄空間が形成されてしまうので、悠に今日の予定を聞いてみることにしよう。



ー三時間後ー


「おお来たかー」


弓弦と悠が集合場所の駅前に行くとそこには既に轟先輩と敦先輩と2年生の男子の先輩、確か

中村先輩が先に来て待っていた。


「すいません遅くなりました」


一応集合時間よりは早いが待たせてしまっていたので一言伝えておく。

中学の時はこういう場面でも体育会系の年功序列があったのでこういう場には慣れている。


「いや別にそういう感じの部活でもないし、元々集合時間より早く来すぎたのは俺らだからそんな謝る必要は無いぞ?」


どうやらそういう面での厳しさはないらしく轟先輩はなんなら俺がいちばん早かったからな、と笑いながら続ける。


「じゃあメンバーも揃ったし行くかー」


どうやら先輩たちはこれだけなようで5人でボーリング場に入る。


「予約の轟です」


ボーリング場はゴールデンウィーク初日ということもあって普段の週末よりも混んでいたが轟先輩がしっかり予約していたようで直ぐに通してもらえた 。


「シューズ取りに行くかー、弓弦って普段ボーリングとかやんの?」


たまには来るが中学は部活命だったので年に1回これば多いくらいだった。


「せっかく高校の近くにあるんだから今度1年生で来なよ」


中村先輩の言うことに頷くが、正直1年生の中でしっかり喋ったことあるのは同じクラスにいつものメンツだけで、1年生は人数が多いせいかグループごとで固まっているから話しかけ辛いんだよな.....


「ていうか1年生同士の仲って今のとこどうなの?」


「いやー別に良くもなく悪くもなくって感じですね」


轟先輩が借りるシューズのサイズを選びながら尋ねてきたので悠が答える。


「まあまだ1ヶ月ちょっとだし、こんなもんじゃないですか?」


「まあ確かに俺らもそんなに全員仲良しって訳じゃないしな」


そのままボールも選び、5人でボーリングを楽しんだ。

元々3ゲームのつもりだったが意外と直ぐに終わったので結局追加してボーリング場を出た時には既に日が落ちかけていた。

ちなみに轟先輩がいちばん上手くて1番下手だったのは敦先輩だった。










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る