第19話練習開始

「今日は二、三年は最初は射込み、その後3立引いて上位2チームで決勝戦を行います。一年生はグループ毎に練習して練習していない方のグループは看取り稽古か看的の仕方を教えてもらってください。

今から練習を始めます!お願いします!」


「「「お願いします」」」


俺たちBグループは最初に看取りと看的だ。他の人はどうやら看取りをするようなので隣にいた悠に


「俺たちは看的の方に行こう多分誰も行かないだろうから」


昨日少し夜更かししたらしく、今日は遅刻ギリギリだった悠が汗を拭きつつ頷く。

二年生の先輩2人が看的に行くようだったのでそれについて行く。


「〜という感じだけど分かった?」


今日の朝俺が弓道場に入ってきた時に挨拶を返してくれた先輩が看的の仕方を教えてくれた。流石に一回じゃ覚えきれなかったけれどしばらくは分からなかったら先輩達がフォローしてくれるとのことなので多分大丈夫だろう。


「そういえば弓道の総体ってどういうルールなんですか?」


説明も聞き終えたので話が途切れたが先輩の前で少し緊張しているのか若干声がいつもより高い悠が尋ねる。

それは俺も気になっていたことなので耳を傾ける。


「えっとね、まず団体戦と個人戦があるんだけど団体戦は男女別で5人1チームで1人4本チームで20本引くの。それで男子はチームで半矢以上、つまり10中以上、女子は9中以上で県大会に行けるの。個人戦は団体戦で男子は3中以上したら、女子は2中以上で二回戦進出で2回合わせて男子は6中女子は5中で県大会っていうふうになってるわね」


ふむふむ、つまり全員半矢すれば県大会に行ける団体の方が一人当たりの難易度は低いが誰かが調子悪かったらそれだけでキツくなるのか、逆に個人戦は自分の調子次第ではスルッと行けるかもしれないけどその分必要な的中も多いのか。


「でも先輩達なら結構余裕じゃないですか?いつもそのくらい軽く当ててるイメージあるんですけど」


確かに悠の言う通りでまだ入部してから一週間しか経っていないが先輩達、特にAチームの先輩達は結構当てている印象がある。他の高校の生徒と競合するのではなく絶対評価で県大会進出が決まるのなら結構簡単に行きそうだ。


「それはどうかな?大会はね、怖いんだよ団体戦だともしこの一本を外したら、とか逆にこれを当てれば県大会、とかそういう考えとかが嫌な緊張になって筋肉が強張るんだ。そうするといつも通りの射なんてできるはずもないんだ」


もう1人の男の先輩がそう言う。

多分それは経験しないと分からないのだろう。


「さっき轟先輩が2チームで決勝戦って言っていただろ?うちの部活では土曜部活の最後にその日の立の成績を集計して上位2チームで勝負をするんだ。決勝戦とは言っても所詮は部活の練習の一部だから別に勝とうが負けようが何もないんだけど、それでもみんな射が目に見えて変わるんだ。君たちもしっかり見ておくといいよ」


真剣な表情で話す先輩の言葉に2人してコクコクと頷いているとAチームの立が終わり看的の仕事がやってきた。


「じゃあ取り敢えず2人に任せるからね。無理っぽいって思ったら私たちが助けるから頑張って!」


先輩にそう言われ俺と悠は頷き急いで看的小屋から出る。

因みに悠が秒で噛んで先輩達が吹き出していた。

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