第16話 運命

ふと目を覚ますとまだ朝だった。

時計の針は

9時半を少し過ぎた辺りを指していた。


「今日か…間に合うな。」


今日は某コンビニ店の

深夜バイトの面接の日。


大学時代の友人には

「フリーランスの総合職」と、

言ってはいるが…単なる無職だ。


普段は昼前に起きて、

食パンを一枚口にして

水道水で流し込む。


ストイックなのは殺し屋の鉄則。

いや、親の稼ぎが悪いから

大学卒業後も親の脛をかじり

仕送りの金額が少ないと悩んでいる

「底辺の法則」しか発動していない。



俺は殺し屋っぽく考える

ストイックな無職。


「KILLER JOE(殺し屋ジョー)」


と呼ばれてみたい24歳無職だ。


だが俺の名はジョーではなく

[宮崎 文男]。


まだ一度も[JOE]と

呼ばれた事もなければ

命を奪ったのは

蚊とゴキブリくらいしかない

駆け出しのフリーランスの殺し屋。


バイトの面接の為、

身支度をしていると…

「罠…か?」


俺の視線の先には

右足の親指を顕にした

靴下の穴があった。

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