待
薄明かりの中、非常停止ボタンの上に置き去られたペットボトルを見た。
私みたいだ、と思う。中途半端に残った中身。忘れられたのか、あるいは置いていかれたのか。決まった場所に捨てて貰うことも出来ず、自ら動くことも出来ない。風の力を借りて転がって線路に落ち、清掃係の人の眉を顰め、どうやって拾うものか、と困らせてしまうのだろう。
緩んだ涙腺に気付いて視線を上げると、ここが桜ノ宮で、私は天王寺へ行くのだと思い知らされる。これが大人ということだ。
いつも通り目頭に栓をした。次発で行こう。いつも通り。いつも通りだ。
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