3
星屑の結晶をばく発させてから、たぶん半年くらい経ったとおもう。
スピカがいない間、友だちとあそんでても、何となくつまらなくて。ぼくは本をよむことがおおくなってた。
スピカが学校にかえってきたら、色んな本のことおしえてあげようとおもって。スピカ、本よむのすきだったからね。
学校からのかえり道、ぼくは本をよみながら一人であるいてた。小学生の一年生にはむずかしいって言われてる、ながい小せつの本。言いまわしがむずかしくて、顔が本に近くなってしまう。
だから、前も後ろも見えてなくて、それがあんまり急だったからびっくりした。
「アヴィ、何よんでるの?」
前から声がきこえてきて、ぼくは顔を上げた。
スピカがえがおで話しかけてきたんだ。
「スピカ……!」
「その本、おもしろいの?」
スピカはふつうなかんじで本をのぞいてくる。
って、いやいやいや! ちょっとまってよ!
「スピカ、もうだいじょうぶなの?」
そうきいたら、スピカは笑った。ちょっとぎこちないのは、たぶんヤケドのコウイショウってヤツだろうとおもう。でも、キズは全然のこってなくて、元どおりのスピカの顔だった。
「もうだいじょうぶよ。シンパイさせて、ごめんね」
「あやまらないでよ。わるいのはぼくなんだから」
ぼくらは並んであるいた。本はカバンの中におさめて、スピカがいなかった半年のことをはなしてあげたんだ。
スピカは本とうにたのしそうで、声にだしてわらってる。ちょっと顔が引きつってるのが気になって、ジィっと見てたら、スピカがきょとーんってカンジでぼくを見てきた。
「わたしの顔、何かついてる?」
「あ、いや、ううん。何でもない」
ぼくはあわてて別のとこを見た。
ごめんねってキモチと、もうケガさせたくないなってキモチ。あと、守らなきゃって思った。
そういえば、フシンシャってやつ、まだつかまってなかったなぁ。女の子が一人でかえるのはアブナイかも。
「ねえ、明日もいっしょにかえろっか」
スピカにそうきいたら、すごくうれしそうな顔をした。
「ええ。いっしょにかえりましょ」
「やくそくね」
ぼくは、スピカと小指をつないで、ぎゅってした。
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