11-4、私の世界の、数多の世界の……恨みを知れ
「これは、
「GOAAAAAAAAA!!!」
「さて、これまで、僕と君、どれだけの
コルラプスェは今日一番の笑顔でデルスィに問いかけた。
「くっ!」
デルスィは残った
「あっはっはっはっはっ!!」
コルラプスェが手を振りかざすと、
「そんな脆い
そう言いながらコルラプスェは自分の額に手を当て、嘆くように空を仰ぐ。
「あぁ~、残念だったね! この間の
そしてコルラプスェは両手を広げ、嘲笑うような顔をデルスィに向ける。
「なんか丸くなった? 絆されちゃった? あらら~」
「あぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
デルスィの目は血走り、憤怒の表情をコルラプスェに向け、素手で殴り掛かった。あと数秒で回復するとは言え、今は
「ま、いっか」
「GOAAAAAAAAA!!!」
とびかかったデルスィに、
「ごはっ……」
乱暴に爪が引き抜かれ、デルスィの口からは血と共に湿った声が漏れる。
コルラプスェが戯れに、まさに遊び半分でデルスィの世界を壊した。
当時
そして、
デルスィはコルラプスェを追った。
自身の
仇敵の命に手がかかった。しかし、それはスルリと彼女の手を逃れてしまった。
そして、十数年の雌伏を強いられた。
体から分離した"憤怒"は、ひたすらに憎悪の刃を研ぎ続けた。最後の瞬間に見せた、仇敵のニヤつく顔を引き裂くために。
そのために、この世界を利用した。魔族を利用した。使いつぶしてやるつもりだった。
だが、
「そんじゃ、さいならだな!」
一瞬意識が途切れていたデルスィは、仇敵の声で意識を引き戻された。
爪を引き抜かれて仰け反ったデルスィに向け、
「あ……・」
そして振り下ろされる爪。
脳裏に様々な記憶が走り抜ける。だが不思議と、彼女の走馬灯を彩るのは、猫の姿で少年少女たちと過ごした日々だった。
(ごめんなさい、みんな……)
悔恨の念がデルスィに溢れたとき、視界にクマのぬいぐるみが映った。
それはただの遊びだった、元々そういった呪物的効果のあるアーティファクトだったが、その呪いを強めたのは……。
「ぐぇ?」
コルラプスェの体に。
デルスィは、クマのぬいぐるみで
──ズォォォォォォォォォォォ
苛立ちを晴らすように、数百の触手を繰り出す。生意気にも目の前に立ちはだかる巨体を粉砕すべく。
大漁の触手を迎え撃つべく、
その軌道に存在した触手はブロック状に砕かれ消滅していき、続けて突き出された左拳により、更に数十の触手が砕け消え去る。
「GOAAAAAAAAAA!!」
両の拳による連撃で、数十数百の触手を粉砕してく
だが、体を隙間なく覆う
更に苛立つ
──ゴォォォォォォォ
光が消え、砂塵が晴れ、そこには何の変化もない
──ズズォズォォォォォォォォォォ
やがて衝突する両者。だが、
それは津波のような触手の群れを消滅させ、
──オゴロガォォォォォォォォ……
感じたことのない痛みに、
──ズォズォズォズォズォズォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ
それは恐怖の絶叫か。
「「「消えろぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」
ヴァレト、マテリ、リアの想いが重なる。
「GOAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
全弾必殺の威力を持つ連打が、
「あたしは3年前、このぬいぐるみに"呪い"を施した……」
「な、なにを……」
これまで、常に嘲るような、余裕の表情だったコルラプスェに、初めて焦りが浮かぶ。
「私の世界の、数多の世界の……」
「やめ──」
デルスィは、クマのぬいぐるみを手放す。
「恨みを知れ」
それは重力による自由落下で落ちていく。
今まさに、"
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
"終末"をも滅ぼす破壊の波が、コルラプスェの体へも齎される。
彼の持つ強力な
その瞬間、2人の
「あぁぁぁぁぁぁ!!」
コルラプスェは千切れ飛びそうな右腕を振りかざし、
「今度はぁぁぁぁぁぁ、これ以上、何も使わせないぃぃぃぃぃぃ!!」
デルスィは、既に
「
その
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?」
それはデルスィだけではない。コルラプスェの
「滅びの時だ、コルラプスェ」
「ながぁぁぁぁぁぁぁ、僕の世界がぁぁぁぁぁ! こわ、こわれ、れれれれれれがぶごぁぁぁぁぁぁ……」
コルラプスェの全身が格子状に斬り刻まれ、砕けて消滅していく。あとに残るのは、黒と緑の粒子だけ……。
そして、
──オゴガゴォォォォォォォォ……
+++++++++++++++++
<次回予告>
「あ、ひ、ヒストリア……嬢、こ、今度の、にぃ、日曜びぃに……」
「あ! マテリ様! 今度の日曜、小生とショッピング行きましょう!」
「えぇ、いいですね」
「散々"男子"を自称していたのに、趣味は完全に女子じゃないですか」
「ん? 2人だけのショッピングがうらやましいのかな? ん?ん?」
「僕は従者なので、当然お供しますが?」
「えぇ~、お呼びじゃないんですけどぉ~。女子同士のショッピングに首突っ込むのとか、どうかと思うよ~?」
「リア、そう言わずに」
「アイアイマム!!」
「……」
「うにゃ、どんまいにゃ、ラクティス。今にゃら、我輩の腹、撫でてもいいにゃ?」
次回:約束された週末
(これは嘘予告です)
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