諸刃の剣

それから、色々な友達と遊びまくり、ぶっ飛んだ。あんなにうるさかったサウンドも、今では心地良い。夜遊びを繰り返しては、学校も行ったり行かなかったりになった。

そんな日々が続いたある日‥

遊び疲れ家で寝ていると,電話が鳴り寝ぼけて無意識に受話器をとった。

「お前、何してんの?‥今から服買いに行くから‥付き合えよ」

「ん~‥何時?‥まだ眠い‥」

「大丈夫だろ‥付き合えよ」

「ん~‥起きらんない‥」

そんな電話があった事も忘れかけた頃、道端でバッタリけいご達に会った。いつになく真面目な顔をしている。

「久しぶりだね~元気~?」

「お前‥知ってんのか?」

「何が?」

「クニの事‥」

「えっ?何かあったの?そういえば‥最近、見てないな」

「パクられたぞ」

「はぁ?何で?」

恐れていた事が起きてしまった。

あたしと瀬戸の時に収めた出来事が、人を変え実行されてしまった。

「本気で殺る気だったから‥殺ったらもう会えなくなるから、会いたい人には連絡したらしいぞ」

その時、あの日の電話を思い出した。

「それで、どうなったの?」

「自分で、自首した」

どんな気持ちであの日、電話してきたのだろう‥会っていたら止められたはずだ。きっとあたししか、あいつの狂気を止める事は出来なかったはず。いつも何かと救ってくれた‥あたしも‥あいつを救いたかった‥

お似合いの二人だった‥何事もなく、幸せになって欲しいと願っていたのに‥

確かに予感はあった‥歯車が狂えば危険だと‥愛が刃に変わらぬ様にと‥一度振るえば跡形もなく粉々に散る鋭い刃を抱えている半端は出来ない。大切な人を失う悲しみは、何度経験しても慣れる事はない。

SOSに気づく事も出来ず、その手を握ってあげられなかった‥強烈な後悔に襲われた。

それから、さくらも何処か遠くへ行ってしまった。真実は解らないけど、大吾くんとあたしの時みたいな状況だったのなら‥最後までクニを抱きしめてあげて欲しかった‥

何もかも壊してしまったんだ‥訳は聞かなくても解る。真っ直ぐで愛しいバカだ。

たとえ理由があったとしても、人を傷つけてしまったら、取り返しがつかない。愛するがゆえでも、その人さえ失って‥今、何を思うのだろう‥

その後、相手は無事回復したと聞き、ひとまず安堵した。

それから、あたしは一家解散となり地元を離れた。


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