集会
中学校に入ってから仲良くなったサキから地元の集会があるから行こうと誘われた。サキは、お姉ちゃんがいるからなのか色々な事を知っている。
その世界には派閥がありエリアで敵対しているみたいだ。あたし達の地元は五校位の集まりで出来た暴走族があるらしい。興味はないけど、少しでもいいからとお願いされ行ってみる事にした。
海に近い空き地に何台も単車が集まっていた。
省吾の家で見た雑誌のリアルがそこにあった。あの頃は別世界と思っていたけど、今はそう思わない。仲の良い気の合う友達は、ほとんどこの姿だったから‥いつの間にか、あたしの中での普通で当たり前の姿になっていた。
サキの知り合いと話したり、中学で離れてしまった懐かしい友達に会えたり退屈しなかった。
サキはもう少しいると言うから、そろそろ帰ろうかと歩き出した時、スーッと、一台の車が目の前に止まり黒塗りの窓が静かに開いた。
ニグロにサングラスをかけた男が顔を出した。
「乗んなよ」
サングラスをずらしマジマジと見ている。
誰だ?この人…
凄みのある目力に戸惑った‥
「大丈夫だよ~早く乗りな~」
有無を言わさぬ様な威圧感にたじろいだ。
その時、車とあたしの間に誰かがスッと割って入って来た。
「安藤君、どうも。こいつ俺の連れなんで」
「おう。クニか…お前の連れか‥」
車の男がチラリとあたしを見た。
「彼女‥またね~」
不気味な笑みを浮かべ、黒塗りの窓がスーッと閉まった。
危険な香りをまとった人だった。何故だか、こういう鼻はきく。正に、蛇に睨まれた蛙。
ボー然と立ち尽くしていた。
「おい、お前ちょっと来い」
クニの声に驚いて慌てて着いて行った。
「あのね、車なんて絶対に乗るなよ。どこ連れてかれるか解んないんだからな。あの人この間ナンパした女、海に捨てて帰ったんだぞ。本当にお前は何にも知らないね」
海に?捨てた?何で?聞きたい事はあったけど今更ながら気味悪くなって何も言わなかった。
「お前はもう帰りなさいよ。単車乗りたいなら俺が乗せてやるから」
「イヤいい。あんたに命は預けらんない」
「はぁ~?お前ね~」
「もう帰るわ。サキは?」
「あいつなら大丈夫だろ。お前は何にも知らないね」
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