転生女神様
灰月 薫
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……さて、貴方は不運な交通事故で亡くなりました。
これから貴方には異世界に転生していただきます。
異世界での生活に支障が出ないよう、私から能力を与えさせていただきますね。
では、良き人生を_______
_____と、言いたいところですが、少しだけ私とお話ししていきませんか?
ここにいると、どうにも暇なんですよ。
…聞いてくださるんですか?
ありがとうございます。
さて……貴方は、異世界ってひとつだと思いますか?
最近貴方達の世界で流行っている「剣と魔法の世界」、とやら……あれだけが、異世界だと思いますか?
実は、それがそうじゃないんですよ。
星の数だけ、いろんな世界がある。
…貴方が前世を過ごしていた世界も、そのひとつなんです。
そして、それぞれの世界には、適性を持つ者が集まる。
普通であれば、もし死んだとしても適性が合う世界の中でしか転生しません。
俗に言う、生まれ変わりですね。
……でもね。
たまに、いるんですよ。
間違った世界に行ってしまう人が。
とある世界にいるべき存在が、間違って別の世界に存在してしまう。
そうしたら、正しい適性の世界へ連れ戻さなければならないんです。
…そう、貴方もその一人なんですよ。
本当は、貴方はこれから行く世界が貴方がいたべき世界なんです。
だから、そうした者を連れ戻すために、私たち“女神”は存在する。
とある存在をとある世界から切り離すためには、その世界での存在を殺さなくてはなりません。
……気付きました?
貴方に突っ込んで行ったトラック、私の同期が運転していたんですよ。
上手に、貴方の肉体をバラバラに轢いていましたよね。
あれじゃあ間違って生き返ってしまうこともないでしょう。
素晴らしい仕事ぶりだと思いませんか?
……少しだけ、話しすぎましたね。
そろそろこの辺で______
_____あら、何故恐怖で震えているんですか?
……人殺し?
ふふっ…しょうがないですよ、殺すことがどうしても必要なんです。
大丈夫ですよ、貴方はこれから素敵な異世界生活を送るんですから。
転生女神様 灰月 薫 @haidukikaoru
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