一人暮らしを始めて一年、幼馴染が一緒に暮らしたいと言い出した。

森前りお

第1話 幼馴染が俺の家に来た

 「お邪魔してます」


 学校からアパートに帰るとそこには俺の一つ年下の幼馴染、和久真昼わくまひるがそこに居た。髪は前に会った時より大分伸び、ホワイトブロンドの髪は綺麗に手入れされているため、さらさらだ。瞳は髪の色と同じ色で、端正な顔立ちをしている。


 「なんで、真昼がここに?」

 「来年度からなぎさくんと同じ高校に通うので……来ちゃいました」


 そので大分説明を省いたようだが、そこはちゃんと説明してほしいところだった。てか、なんで俺に誰も連絡しないんだよ。

 ピロン。

 LINEの通知が鳴る。


 『言い忘れていたけど、今日から真昼ちゃんが渚の部屋で住むことになるから。色々な手続きはもう終わっているから真昼ちゃんを追い出そうなんてことは出来ないわよ』

 「……」


 僕は無言でスマホを机の上に置く。


 「真昼、俺は男だ」

 「はい。知っています」

 「知らない男の家に住むんだぞ!」

 「渚くんとは親より親しい仲なんですからっ!」


 誰かが聞いたら誤解するようなことは言わないで欲しい。説得して俺の家を自分から出て行きたいと言わせようと思ったのに……。


 「それより、渚くんの部屋、ものすごく手入れの行き届いていない部屋でしたよ」


 気遣って言葉を選んでくれたのだろうが、普通に傷ついている。


 「男の一人暮らしの部屋はそんなもんだろ」

 「コンビニ弁当のゴミばかりがゴミ箱に入っているのはどういうことですか?」

 「ゴミ箱まで見る必要あるか?」

 「あります!」


 一人暮らしをすれば自然に料理が作れるようになると思っていた。でも、現実は違い、何度やってもご飯とみそ汁だけしか作れない。だから、仕方がなくコンビニ弁当で済ましているのだ。


 「はあ」

 「私と一緒に住めば、家事全般やらなくてもいいんですよ?」

 「っ~~~」


 家事全般をやらなくていい。俺が一番面倒くさがって毎日やっている洗濯物も干さなくていい。片付けなくていい。ご飯も作らなくていい。

 ……。 

 ……。

 ……。


 「分かった。一緒に住もう」

 「やった!ありがとうございます。渚くん!」


 こうやって、俺たちは同棲することになった。

 

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