ぼっち飯してたらドSなお嬢様系後輩(通称:漆黒堕天使ちゃん)の下僕にされた件

アオゾラカナタ

第1話 漆黒堕天使とサーヴァント

 ヒロインのイメージイラストが近況ノートにあります。

 この子があなたの後輩です。 下記からご覧ください。

 https://kakuyomu.jp/users/AozoraKanata/news/16817330648549433201

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 昼休み。 それは学園生なら誰もが待ち望む1日の中でもとりわけ重要な時間。

 いわば時のオアシスとも言えようその時間をひどく嫌う男がいた。

 『はぁ……まだ春の癖に暑すぎるだろ。 熱中症になたらどうしてくれんだよ……』

 『何故暑いと言いながら屋上に居るのか……?』

 『うるせえわ。 教室にいづらいんじゃい!』

 やべえ、暇すぎて脳内ひとりコントしてたわ……

 黙々と齧るパンを一旦仕舞うとスマホを手に取る。

 お、魔法少女漆黒堕天使ちゃんのOP弾いてみた動画早速投稿されてんじゃん。 再生再生っと……

 イヤホンはしていない。 普段誰も来ない屋上では必要無いから。

 スマホからは軽快なメロディに合わせたエレキギターの音色が流れる。 イントロが終わり歌詞パートが始まると物陰から誰かが飛び出し歌い始めた。

 「天を追われて百年目〜♪ 倒した天使は百億万人!♪」

 何事!? 飛び出してきたのは腰まで伸ばした黒髪に薄い化粧の可愛い子。

 てか誰だっけコイツ? どっかでみたような……

 飛び出した女の子もやっちまったという顔でこっちを見ていた。

 やべえ、なにこの状況意味不明すぎて笑えるんだけど。 むしろ一周回って怖い。

 何か言わなくては……そして願わくば帰って欲しい……

 インキャ魂が炸裂してあたふたしてしまいなにも言えない。

 気まずい空気を切ったのは目の前の女の子だった。

 「まっ、魔法少女漆黒堕天使天使ちゃん……お好きなんですの……?」

 「ええ……まぁ……」

 こう答えるので精一杯だった。 だってコミュ障インキャだもん。

 「なんだ! 同士でしたのね!」

 まぁ、こうなっちゃうよね……歌っちゃうくらい好きなんだもんね……

 「えへへ。初めて学校で同士に出会えましたわ」

 「あっ、わたくしは一年の浦影沙耶乃うらかげ さやのと申します。 以降お見知り置きをお願いしますわ」

 浦影沙耶乃……どこかで聞いたことあったような。

 「お前、漆黒堕天使ちゃんか!!」

 入学後のクラスでやる自己紹介の際、どぎつい厨二病発言、オタク発言をぶちかましたお嬢様という強烈すぎるキャラで一瞬で腫れ物と化したと噂のあいつだったのか……

 「ふふ、そうわたくしをクラスの方々はお呼びになりますわね」

 「ちょっと誇りに思ってないそれ?」

 自分以上にヤバい奴を前にするとなんだか緊張って無くなるものなんだな……

 コミュ障の俺としては意外なほどすぐ言葉が出たぞ。

 「いえいえ……わたくしごときが漆黒堕天使ちゃんだなんて恐れ多いですわ……」

 うん、聞いてた通りのぶっ飛んだお方だった。

 「それで、どうして先輩はこんなに暑い中屋上へいらしているのですか?」

 わかっていってるの?だとしたらかなりサドだよね?情報量多すぎないこの子?

 「察してくれないか……?」

 「ふふ、わたくし最初からわかっていましたわよ。 お友達が教室にいらっしゃらないのですわよね?」

 うん、サドだったね。 確かに漆黒堕天使ちゃんみたいな性格してるし。

 「でしたらわたくしが先輩のお友達になって差し上げますわ。 お友達の契約に……」

 沙耶乃は長い黒髪を掻き上げ耳に掛けると大きく口を開き八重歯をチラリとさせながら近づいてくる。

 か、噛まれる……!?

 と思いきやベンチに置いていた大好物のコンビニのシュークリームを開け一口でガブリと食べた。

 あ、食われた。 俺の大好物〜〜!!

 「ふむ、これは安物ですわね……? これだけじゃ契約はできませんわ」

 味の違うシュークリームをもう一つ開けて食べ始めた。

 「しょぼい味ですけれど今日のところはこれで勘弁してさしあげますわ」

 「いや、勝手に食って安物って酷えな!」

 「あら、勝手にだなんて心外ですわ。 わたくしを止めはしなかったではありませんか」

 「驚きすぎて反応できなかったんだよ!」

 「あらあら、それは申し訳ありませんわね」

 うん、絶対反省してないよね? てかさっき今日のところはこれで勘弁って言ったよな……?

 「あのちなみにこれって今後も続くんですかね……?」

 なんで先輩の俺が下手に回ってるんだ……?

 「当然ではありませんか! わたくしたちはもう立派なお友達ですもの」

 どうやら俺にもお友達ができたらしい。 わぁー、嬉しいな!

 ……なんやねんこれ……つら……

 「あの、ちなみに俺ってイジメを受けてるんですかね……?」

 「あら、イジメなんて卑劣な行為はわたくし見過ごせませんわ。 どなたが先輩をイジメになるのですか?」

 お前だよ!悪気はなかったのかよォォ!!

 「ごめんなさい、気のせいだったみたいです」

 「そうですの……せっかくの武術を披露する機会ができたと思いましたのに……」

 しかも鉄拳制裁だったのかよ。 マジで漆黒堕天使ちゃんじゃん!

 「おっと、予鈴が鳴ったし俺は教室に戻るな。 またいつかな」

 「明日のお昼もここでお待ちしておりますわ。 マイサーヴァント」

 「それお友達じゃなくて下僕じゃね!?」

 俺の言葉は聞こえないのか聞く気がないのか沙耶乃はお淑やかな笑みを浮かべ小さく手を振った。

 教室もどろ……明日は昼休みどうすっかなぁ……

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