第17話 村に起きる産業革命

 自分が作ったデイライト鉱と、道具と、自分の手を何度も何度も見返している。


 完全に別世界に飛んでいるサリナさんをそっとしておいて色々と考察をする。




 その中でもっとも現実的だと思った仮説はこうだ。


 この世界の人間、NPCはスキルと言うものを持っていない。


 スキルやゲームシステムに頼らずに、現実的に物を変化させたりしている。


 その結果、ユキムラのようなシステムを利用した、採掘ポイントの発見、ミニゲーム、スキルなどの補助を一切受けることが出来ない。


 ただユキムラがスキルを指導するとスキルを得ることが出来るのでそれを行使できる。


 ただ、ミニゲームや採掘ポイントなどは残念ながら知覚できない。


 過程がすっ飛んで結果が出るので、本人には理解が出来ない。


 ミニゲームもオート程度の精度にしかならない。


 ってとこだとユキムラは考えた。




(つまりスキルを説明してスキルを使用できるようにすることで、この世界において別次元の効率で物事を行えるんじゃないか?)




 ユキムラはさらに興奮していた。


 昨日、自分の家を手に入れた時と同じドキドキが加速していくのを感じていた。




「まずは村長に話をしよう」




 やっと正気に戻ったサリナさんに、詳しくは後で、と伝えて村長の家へと急ぐ。


 途中ユキムラを探していたレンと合流する。




「師匠の家に行ったら誰もいないから探してたんだよ! 


 師匠! 今日はなにするの!?」




「今日はちょっと村長に話をして、それから村の皆に話を聞いて欲しいんだ。


 レン、悪いんだけど村の皆に、村長の家まで来てもらうように言ってもらえるか?」




「任せといてよ師匠!」




 レンはユキムラに頼み事をされたのがよほど嬉しいのかランランで走り去っていく。


 別に走るからランランと言ったわけではない。ないぞ。




 ユキムラは村長の家の扉をノックする。すぐに奥さんが対応してくれた。




「おお、ユキムラ様。家の方はどうですかな?」




「素晴らしい家を貸していただき本当に有難うございます。


 その恩返しではないのですが、皆様に提案したいことがあって相談に来たのです?」




「もう十分すぎるほど我々はユキムラ様のお世話になっているのですが、この上にまだ我々に何かしていただけると?」




「来訪者の技術を皆様にお教えしよ……」




「是非に!」




 言っている途中に食い気味にガシッと両手で手を握られてしまった。


 それと同時にレンが村長の家に飛び込んでくる。




「師匠!! 全員来るように言ってきたよ、もう少し集まってるよ」




「おお、早いなレン」




「えっへへへ~」




 どや顔である。


 村長と一緒に外に出ると、村の救世主と名高いユキムラの威光は強力で続々と人が集まってくる。




「まずは採取と狩猟のコツを教えます」




 場所は移動して平原に出る。


 家でこっそりと作った弓も用意してある。


 狩猟用弓(極上)だ。


 VOのミニゲームのコツみたいなものを村人全員に聞いてもらった。


 ユキムラの予想通りゲームのコツを話して行くと、村人たち自身は理解していなくても、結果だけは付いてきた。


 狩猟で言えば狩猟スキルを発動している人間だけに見える獲物が実際に手に入る。


 脇で見ている人間からしたら魔法のようなことが目の前で展開していく。




 そんな感じでいろいろな一般スキルのミニゲームを皆に話していく。


 途中残っていた特別な物を必要としないスキルである、建築・裁縫・改造・農業・畜産スキルも手に入った。


 村人に教えて幾つかわかったことがあった。




 VOにおける一般スキルをNPCに教える際のルール。




 ・説明はミニゲームのコツを教えれば良い。


 ・適性があり、人によって出来ることと出来ないことがある。


 ・鍛冶や裁縫などは適正が珍しいようだ、スキルによってレア適正とかもあるみたい。


 ・適性にランクがありそうで、もともと高レベルで発現する人やなかなかレベルが上がらないNPCがいる。


 ・適性やスキルが発現したNPCでも、他のNPCを指導することは出来ない……


 ・やはりミニゲームはオート進行時と同じくらいの精度になる。


 ・一部の適性が高いNPCだと採集ポイントなどが薄っすらとわかる。


 ・レシピなどは残念ながら閃かない。


 ・調理スキルはNPCは使わないほうがいい……




 ユキムラは簡単にメモを取る。


 これによって村では色々なことが劇的に変化した。


 物理法則を無視した食材の確保が出来る人が現れた。


 簡単に言えばさっきそこで食材を得た場所で、少し時間が経つと再びそこで食材が得られる。


 まぁ、普通に考えれば異常なゲームの世界の仕様が、現実のものとして発現している。


 これによって食糧問題は著しく改善される。




 狩猟も精度が段違いに高くなる。


 それぞれ適性が高い人間をリーダーにチーム分けも行われた。


 そして一番驚かされたのがレンだ。


 ほぼすべての作業に適性が非常に高い。


 まさにユキムラの弟子、皆の間で評判になった。


 師弟だからなのかと体験弟子入りもしたが師弟は能力には関係ないようだ。


 


 そんなかんじで、色々と実験しているうちに日々は飛ぶように過ぎていく。


 村での生活はどんどんと豊かになっていく。


 仕事で使う道具はほとんどすべて鉄製になっている。


 食器なども美しい陶器製のものになったり、室内も魔道具による照明など、王都の高級なホテルなどでしか見かけないような設備が当たり前になっている。


 このあいだ街から来た商人が腰を抜かしていた。




 ユキムラも商人Lv10に達して転職している、同じく下級職である魔道具師だ。


 基礎的な魔道具の作成なんかができるようになる。


 本当はそろそろ戦闘職もなっておきたいが、今は内政が楽しくて仕方がない。


 魔道具師も商人と同じで戦闘以外で経験値を貯められるので、BLvがやや高くなってしまったユキムラにとっても都合が良かったというのもある。


 そんなわけでユキムラは採取やら素材を集め、開発という幸せな時間を過ごしている。




「師匠!! 今日も採掘してきたよ!!」




 頼もしい弟子レンの協力もあり研究に必要な素材集めも充実していた。


 虫除けと言う名の魔除けを持っていればまず安全面も問題ない。


 季節は肌寒くなり引きこもりの冬が訪れようとしていた。




 あ、レンの父親は村へ戻ってきており夫婦でアホくらいイチャイチャしているのでありました。




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 ユキムラ サナダ




 JOB:魔道具師


 BLv 33


 JLv 4




 HP:431


 MP:110




 力   57


 素早さ 1


 体力  1


 知性  1


 器用さ 1


 幸運  1




 JOBスキル:足捌きLv10 片手剣Lv10 パリィLv10


     クリティカルLv10 カウンターLv10 収納上手Lv10 鑑定Lv10


     販売Lv10 買い取りLv10 店舗開設Lv10 魔道具知識Lv4 魔道具作成Lv5


     魔石知識Lv5 魔石作成Lv5 魔道具鑑定Lv4




 特性:秘められた才能取得経験値全てにボーナスが付きます


    生産型スキル経験値ボーナス




 一般スキル:採取Lv12 調理Lv10 作成Lv18 調合Lv15 釣りLv10 解体Lv3 狩猟Lv11 採掘Lv21


       魔道具作成Lv15 建築Lv9 裁縫Lv5 改造Lv19 農業Lv8 畜産Lv8




 称号:ゴブリンスレイヤー ミニゲームマスター:ミニゲームでPerfectを1000回行った証


    一般スキル初心者:一般スキルの合計が50に到達した証、スキル上限が20になる。


    一般スキル初級者:一般スキルの合計が100に到達した証、スキル上限が30になる。




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